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令和3年版 犯罪白書 第3編/第2章/第5節/3

3 少年の保護観察対象者に対する処遇

保護観察処分少年及び少年院仮退院者に対する処遇は,基本的に,特定暴力対象者に対する処遇,専門的処遇プログラム及び中間処遇制度を除き,仮釈放者及び保護観察付全部・一部執行猶予者に対する処遇と同様である(第2編第5章第3節2項参照)。

(1)類型別処遇

保護観察処分少年(短期保護観察及び交通短期保護観察の対象者を除く。以下(1)において同じ。)及び少年院仮退院者に対しても,類型別処遇第2編第5章第3節2項(2)ア参照)が実施されている。令和2年12月末日における保護観察処分少年及び少年院仮退院者の類型の認定状況を見ると,3-2-5-6表のとおりである。なお,3年1月に新たに加えられた類型の同年3月末日現在の認定状況を見ると,ストーカー23人(保護観察処分少年21人,少年院仮退院者2人),特殊詐欺348人(同224人,124人),嗜癖的窃盗22人(同19人,3人)及び就学1,153人(同1,017人,136人)であった(法務省保護局の資料による。なお,特殊詐欺類型については第8編第4章第2節参照)。

3-2-5-6表 少年の保護観察対象者の類型認定状況
3-2-5-6表 少年の保護観察対象者の類型認定状況
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(2)凶悪重大な事件を起こした少年に対する処遇

殺人等の凶悪重大な事件を起こした保護観察処分少年及び少年院仮退院者は,生活環境の調整及び保護観察の実施において特段の配慮を要するため,重点的な処遇期間(保護観察開始後1年間)を定め,保護観察官の関与を深めるとともに,しょく罪指導プログラム(第2編第5章第3節2項(2)エ参照)を実施するなど,被害者への対応に関する助言指導も行っている。

(3)専門的処遇プログラム

保護観察処分少年及び少年院仮退院者に対しては,その者の非行事実等に照らして必要と認められる場合,その特性等に十分配慮した上で,専門的処遇プログラムを受けることを生活行動指針として定め,当該プログラムが実施されることがある(第2編第5章第3節2項(2)ウ参照)。

(4)社会貢献活動

保護観察処分少年及び少年院仮退院者に対しても,社会性の向上,自己有用感の涵(かん)養,規範意識の強化等を図るため,社会貢献活動が実施されており,平成27年6月からは,特別遵守事項として定めて義務付けられている。令和2年度は379回(前年比663回減)実施され,延べ人員として,353人(同497人減)の保護観察処分少年,43人(同115人減)の少年院仮退院者が参加した(法務省保護局の資料による。社会貢献活動の内容等については,第2編第5章第3節2項(5)参照)。

(5)就労支援等

保護観察処分少年及び少年院仮退院者に対しても,法務省と厚生労働省が連携して実施している刑務所出所者等総合的就労支援対策に基づく計画的な就労支援及び更生保護就労支援事業による寄り添い型の就労支援が行われている(第2編第5章第3節2項(4)参照)。また,沼田町就業支援センターでは,将来の就農に意欲を持つ保護観察処分少年,少年院仮退院者及び若年仮釈放者を宿泊させて,実習農場等において職業訓練を実施している(同項(6)参照)。

(6)保護者に対する措置

保護観察所においては,少年の保護観察対象者の保護者に対し,少年の生活実態等を把握して適切にその監護に当たるべきことや,少年の改善更生を妨げていると認められる保護者の行状を改めるべきことについて指導又は助言を行うほか,少年の非行に関連する問題の解消に資する知識等の提供を目的とする講習会や,保護者同士が子育てに関する経験,不安や悩みを話し合う保護者会を開催するなどしている。令和2年度においては,講習会・保護者会等が23回(前年比19回減)実施され,91人(前年比319人減)が参加した(法務省保護局の資料による。)。