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令和元年版 犯罪白書 第7編/第1章/第1節/7
7 小括

以上のように,平成は犯罪の増加と減少が順次訪れた時期であった。

犯罪が減少する中,近年注目されてきた課題もあり,具体的には窃盗に代わり詐欺が増加していることや,暴行・傷害等の粗暴犯が余り減少しないこと,薬物犯罪もなかなか減少しないこと,これまで発覚しにくい犯罪類型であった児童虐待・配偶者間暴力・ストーカー犯罪等が大きく増加していること,被害者保護や再犯の問題もなお対策が必要であることなどが挙げられる。

犯罪の増加と減少や,犯罪の質・傾向に変化が見られる要因としては,人口及び人口構成の変化,経済状況の変化,グローバル化,インターネット等新しいツールの普及等が考えられるものの,この他にも多くの社会的要因が複雑に絡み合って影響を与えているものと思われ,その要因分析は容易ではない。

それでも,これまでの犯罪動向や近年の課題を踏まえた的確な政策立案が求められるところであり,犯罪動向やその要因分析,処遇等の各種対策等についての調査研究は引き続き重要な役割を果たすものと思料される。