この項では,出所受刑者(平成27年以前は,仮釈放又は満期釈放により刑事施設を出所した者に限り,28年以降は,仮釈放又は満期釈放若しくは一部執行猶予の実刑部分の刑期終了により刑事施設を出所した者に限る。以下この節において同じ。)の再入所状況について概観する。ここで,出所受刑者の再入率とは,各年の出所受刑者人員のうち,出所後の犯罪により,受刑のため刑事施設に再入所した者の人員の比率をいう(以下同じ。)。また,2年以内再入率とは,各年の出所受刑者人員のうち,出所年を1年目として,2年目,すなわち翌年の年末までに再入所した者の人員の比率をいう。5年以内,10年以内及び20年以内の各再入率も,同様に,各年の出所受刑者人員のうち,出所年を1年目として,それぞれ5年目,10年目及び20年目の各年の年末までに再入所した者の人員の比率をいう。なお,同一の出所受刑者について,出所後,複数回の刑事施設への再入所がある場合には,その最初の再入所を計上している。
5-2-3-6図は,平成11年,21年及び26年の各出所受刑者について,5年以内,10年以内又は20年以内の再入率を出所事由別(仮釈放又は満期釈放の別をいう。以下この項において同じ。)に見たものである。いずれの出所年の出所受刑者においても,満期釈放者は,仮釈放者よりも再入率が相当高い。また,26年の出所受刑者について見ると,総数の2年以内再入率は18.5%,5年以内再入率は38.6%と,約4割の者が,5年以内に再入所しており,そのうち約半数の者が,2年以内に再入所している。21年の出所受刑者について見ると,10年以内再入率は,満期釈放者では56.0%,仮釈放者では35.5%であるが,そのうち,5年以内に再入所した者は,それぞれ,10年以内に再入所した者の約9割,約8割を占めている。11年の出所受刑者について見ると,再入率は,出所年を含む5年以内で著しく上昇するが,その後の曲線の傾きは緩やかになり,10年を超えるとほぼ横ばいになっている。
5-2-3-7図は,平成11年,21年及び26年の各出所受刑者について,5年以内,10年以内又は20年以内の再入率を入所度数別に見たものである。入所度数が多いほど再入率は高く,特に入所度数が1度の者(初入者)と2度の者の差は顕著である。いずれの入所度数においても,再入率は,出所年を含む5年以内で著しく上昇するが,その後の曲線の傾きは緩やかになり,10年を超えるとほぼ横ばいになっている。
5-2-3-8図は,資料を入手し得た平成8年,17年及び26年の出所受刑者について,出所事由別の5年以内再入率を罪名別に見たものである。全体としては8年,17年,26年の順に低下する傾向にあり,その傾向は詐欺,強姦・強制わいせつ及び放火の満期釈放者において顕著である。17年及び26年の出所受刑者では,覚せい剤取締法違反及び窃盗は,他の罪名と比べ,満期釈放者・仮釈放者共に,5年以内再入率が高い。また,詐欺及び傷害・暴行の満期釈放者は,覚せい剤取締法違反及び窃盗の満期釈放者に次いで,5年以内再入率が高い。8年の出所受刑者でも同様の傾向が認められるが,満期釈放者では,詐欺が67.5%と最も高い。