4-8-1-1図 刑法犯 検挙人員（年齢層別）・高齢者率の推移（総数・女性別）
年齢層別の刑法犯検挙人員及び高齢者率（各刑法犯検挙人員に占める高齢者の比率をいう。）の推移（平成元年以降）を総数・女性別に見ると，4-8-1-1図のとおりである。
高齢者の検挙人員は，平成3年以降，毎年増加して，20年にピーク（4万8,805人）を迎え，その後は高止まりの状況にあって，30年に4万4,767人（前年比3.2％減）となり，元年（6,625人）から約6.8倍に増加した。このうち，70歳以上の者は，23年以降高齢者の検挙人員の65％以上を占めるようになって，30年には70.1％に相当する3万1,404人（前年比0.7％減）となり，元年（3,428人）と比べて約9.2倍に増加した。高齢者率は，他の年齢層の多くが減少傾向にあることからほぼ一貫して上昇し，28年以降20％を上回る。
女性高齢者の検挙人員は，平成3年以降，毎年増加して，24年にピーク（1万6,503人）を迎え，その後は高止まりの状況にあって，30年に1万4,613人（前年比4.2％減）となり，元年（2,552人）と比べて約5.7倍に増加した。特に70歳以上の女性は，23年以降女性高齢者の検挙人員の7割を超えるようになって，30年には76.8％に相当する1万1,221人（前年比1.5％減）となり，元年（1,271人）と比べて約8.8倍に増加した。
刑法犯検挙人員の人口比の推移（平成元年以降）を総数・女性別に見るとともに，これを年齢層別に見ると，4-8-1-2図のとおりである。
総数における高齢者の刑法犯検挙人員の人口比は，平成3年以降，65～69歳の者は18年まで，70歳以上の者は19年まで，それぞれ上昇傾向にあったが，以後は，65～69歳の者は低下し続け，70歳以上の者は緩やかな低下傾向にある。元年と比べると，30年には，65～69歳の者が約2.2倍の142.6，70歳以上の者が約3.3倍の119.8にそれぞれ上昇した。
女性における高齢者の刑法犯検挙人員の人口比は，65～69歳の者は平成5年から17年まで，70歳以上の者は8年から20年まで，それぞれ連続して上昇したが，以後は，65～69歳の者は低下傾向にあり，70歳以上の者は緩やかな低下傾向にある。元年と比べると，30年には，65～69歳の者が約1.6倍の70.1，70歳以上の者が約3.3倍の73.4にそれぞれ上昇した。
刑法犯検挙人員の人口比は，総数については，平成期を通じて，20～64歳の者，65～69歳の者，70歳以上の者の順に高い。女性の刑法犯検挙人員については，平成12年まで20～64歳の者の人口比が最も高かったが，13年以降は65～69歳の者の人口比が最も高くなり，24年以降は70歳以上の者の人口比が20～64歳の者の人口比を上回っており，30年においては，70歳以上の者，20～64歳の者，65～69歳の者の順に高くなっている。
4-8-1-3図は，平成元年・15年・30年における高齢者の刑法犯検挙人員の罪名別構成比を男女別に見たものである。いずれの年も，全年齢層と比べて，高齢者では窃盗の割合が高いが，特に女性では，約9割が窃盗であり，その大部分が万引きである。
刑法犯検挙人員の人口比の推移（平成元年以降）を主な罪名別で見るとともに，これを年齢層別で見ると，4-8-1-4図のとおりである。
殺人の人口比は，平成期を通じ，20～64歳の者と比べて，65～69歳の者及び70歳以上の者のいずれも低い。
傷害及び暴行の人口比は，平成期を通じ，65～69歳の者及び70歳以上の者のいずれも上昇傾向にある。なお，20～64歳の者の人口比について，暴行は平成12年以降上昇傾向にあるが，傷害は同年に急上昇して以降おおむね横ばいである。
窃盗の人口比は，平成23年まで，65～69歳の者及び70歳以上の者のいずれも上昇傾向にあったものの，24年以降は7年連続で低下している。20～64歳の者の人口比については，13年以降5年連続で上昇したが，18年以降は減少傾向にある。
