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令和元年版 犯罪白書 第4編/第3章/第2節/3

3 処遇
(1)検察

4-3-2-8図は,平成元年・15年・30年における暴力団関係者(集団的に又は常習的に暴力的不法行為を行うおそれがある組織の構成員及びこれに準ずる者をいう。以下(1)において同じ。)の起訴率を見るとともに,30年については,これを更に罪名別に見たものである。総数(過失運転致死傷等及び道交違反を除く。)で見ると,暴力団関係者の起訴率は,元年が83.0%,15年が75.4%,30年は48.7%で,いずれの年も,非暴力団関係者よりも高かった。また,30年における起訴率を罪名別に見ても,おおむね暴力団関係者の方が非暴力団関係者よりも高かったが,詐欺,恐喝及び暴力行為等処罰法違反については,いずれも,非暴力団関係者の方が暴力団関係者よりも高かった。

4-3-2-8図 暴力団関係者の起訴率(罪名別)
4-3-2-8図 暴力団関係者の起訴率(罪名別)
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(2)矯正
ア 暴力団関係者の入所受刑者人員の推移

暴力団関係者の入所受刑者人員及び暴力団関係者率(入所受刑者人員に占める暴力団関係者の比率をいう。)の推移(平成元年以降)は,4-3-2-9図のとおりである。平成期における暴力団関係者の入所受刑者人員は,元年の6,263人(暴力団関係者率25.5%)をピークとし,途中,11年から17年までの間増加傾向にあったものの,全体としては減少傾向にあり,30年は1,088人(同6.0%)であった。同年の入所受刑者中の暴力団関係者について,その地位別内訳を見ると,幹部337人,組員619人,地位不明の者132人であった(矯正統計年報による。)。

4-3-2-9図 暴力団関係者の入所受刑者人員・暴力団関係者率の推移
4-3-2-9図 暴力団関係者の入所受刑者人員・暴力団関係者率の推移
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イ 入所受刑者中の暴力団関係者の特徴
(ア)年齢

入所受刑者のうち暴力団関係者の年齢層別構成比を見ると,平成元年は,40歳代が31.5%と最も高く,以下,30歳代(31.3%),20歳代(29.9%),50歳代(6.7%),60歳以上(0.5%)の順,15年は,30歳代が37.5%と最も高く,以下,20歳代(21.8%),40歳代(20.5%),50歳代(15.9%),60歳以上(4.3%)の順であった。他方,30年は,40歳代が36.3%と最も高く,以下,50歳代(23.9%),30歳代(21.3%),60歳以上(10.7%),20歳代(7.8%)の順であった(矯正統計年報による。)。

(イ)罪名

4-3-2-10図は,平成元年・15年・30年における暴力団関係者の入所受刑者の罪名別構成比を見るとともに,30年については,暴力団関係者とそれ以外の者とを対比して見たものである。暴力団関係者は,いずれの年でも,覚せい剤取締法違反の構成比が最も高く,また,30年については,それ以外の者と比べて,覚せい剤取締法違反,傷害,銃刀法違反,恐喝の構成比が高く,窃盗は相当低い。

4-3-2-10図 入所受刑者の罪名別構成比(暴力団関係者・非関係者別)
4-3-2-10図 入所受刑者の罪名別構成比(暴力団関係者・非関係者別)
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(ウ)刑期

4-3-2-11図は,平成元年・15年・30年における入所受刑者のうち,暴力団関係者の懲役受刑者の刑期別構成比を見るとともに,30年については,暴力団関係者とそれ以外の者とを対比して見たものである。暴力団関係者の入所受刑者のうち,2年を超える刑期の者(無期刑を含む。)の比率は,元年が24.5%,15年が47.8%だったのに対し,30年は55.7%で,それ以外の者と比べると,13.7pt高かった。

4-3-2-11図 入所受刑者の刑期別構成比(暴力団関係者・非関係者別)
4-3-2-11図 入所受刑者の刑期別構成比(暴力団関係者・非関係者別)
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(エ)入所度数

4-3-2-12図は,平成元年・15年・30年における暴力団関係者の入所受刑者の入所度数別構成比を見るとともに,30年については,暴力団関係者とそれ以外の者とを対比して見たものである。暴力団関係者の再入者の比率は,元年は73.9%,15年は69.9%だったのに対し,30年は84.5%で,それ以外の者と比べると,26.4pt高かった。

4-3-2-12図 入所受刑者の入所度数別構成比(暴力団関係者・非関係者別)
4-3-2-12図 入所受刑者の入所度数別構成比(暴力団関係者・非関係者別)
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(3)保護観察

平成30年の仮釈放者の保護観察開始人員のうち,暴力団関係者(保護観察開始時までに暴力団対策法に規定する指定暴力団等との交渉があったと認められる者をいう。以下(3)において同じ。)の人員及び仮釈放者に占める比率は,1,003人,8.2%(前年比0.1pt低下)であった。同年の保護観察付全部・一部執行猶予者の保護観察開始人員のうち,暴力団関係者の人員及び保護観察付全部・一部執行猶予者に占める比率は,180人,5.2%(同2.1pt上昇)であり,そのうち,保護観察付一部執行猶予者の暴力団関係者は,115人であった(保護統計年報による。)。