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令和元年版 犯罪白書 第4編/第10章/第3節/3

3 地域社会における処遇

裁判所の通院決定又は退院許可決定を受けた者は,原則として3年間,指定通院医療機関(厚生労働大臣が指定する。)による,入院によらない医療を受けるとともに,その期間中,保護観察所による精神保健観察に付される。指定通院医療機関は,平成31年4月1日現在,全国で3,600機関(うち病院が563機関,診療所が74機関)となっている(厚生労働省社会・援護局の資料による。)。

精神保健観察は,継続的な医療を確保することを目的としており,社会復帰調整官が,対象者との面接や関係機関からの報告等を通じて,その通院状況や生活状況を見守り,継続的な医療を受けさせるために必要な指導や助言を行うものである。

精神保健観察の実施に当たって,保護観察所は,指定通院医療機関や都道府県,市町村等の精神保健福祉関係機関の関係者と協議の上,対象者ごとに処遇の実施計画を定めている。各関係機関はこれに基づき,相互に連携を図りながら地域社会における処遇を実施している。処遇の実施計画の作成時その他の必要な時期に,社会復帰調整官は,地域社会における処遇を実施する上で必要な評価や判断の要素を標準化した社会復帰促進アセスメントを行い,対象者の社会復帰を促進するために必要な処遇の方針の検討に役立てている。また,処遇の経過に応じて,保護観察所は,処遇に携わる関係機関の参加を得て「ケア会議」を開催し,情報を共有して処遇方針の統一を図るとともに,処遇の実施計画についても必要な見直しを行っている。

精神保健観察の開始件数・終結件数の推移(平成17年以降)は,4-10-3-4表のとおりである。30年における開始件数は257件(このうち通院決定によるものは25件,退院許可決定によるものは232件),終結件数は266件(このうち通院期間の満了によるものは181件,医療を終了する決定によるものは72件,(再)入院決定によるものは5件),同年末現在の精神保健観察の係属件数は656件であった。精神保健観察においては,最近5年はおよそ3割の者が医療を終了する決定により終結している。

4-10-3-4表 精神保健観察の開始件数・終結件数の推移
4-10-3-4表 精神保健観察の開始件数・終結件数の推移
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