国連においては,平成4年(1992年)に経済社会理事会の下に機能委員会として設置された犯罪防止刑事司法委員会(コミッション)が,毎年会合を開いて犯罪防止及び刑事司法分野の政策決定を行っているところ,我が国は設立当初から同委員会のメンバー国に選出されており,毎年の会合において積極的に関与している。
また,犯罪防止及び刑事司法の各分野にわたる政策の提案,意見交換等を目的として,国連の主催により昭和30年(1955年)から5年ごとに国連犯罪防止刑事司法会議(コングレス)が開催されている。コングレスは,犯罪防止・刑事司法分野における国連最大規模の国際会議であり,平成期は,第8回(平成2年(1990年))から第13回(平成27年(2015年))まで,キューバ,エジプト,オーストリア,タイ,ブラジル及びカタールにおいてそれぞれ開催された。
我が国は,国連アジア極東犯罪防止研修所(UNAFEI)を通じて第8回コングレスで採択された「非拘禁措置に関する国連最低基準規則(東京ルールズ)」の原案を作成したほか,第9回コングレスでは「犯罪の防止と社会の安全のための銃器規制」を提案し,その採択に貢献するなどしている。第10回コングレスからは複数の決議案を審議するのではなく,単一の政治的宣言を採択するようになったところ,我が国も宣言案の作成協議に積極的に貢献している。そのほか,UNAFEIは,コングレスのワークショップの企画・運営をしている。
次回の第14回コングレス(以下「京都コングレス」という。)は,「2030アジェンダの達成に向けた犯罪防止,刑事司法及び法の支配の推進」を全体テーマとして,令和2年(2020年)4月20日から同月27日までの8日間,京都で開催される。我が国は,コングレスの事務局である国連薬物・犯罪事務所(UNODC)(第2編第3章参照)等と協働し,開催に向けた準備を進めている。また,京都コングレスに先立って,同月13日から同月15日までの3日間,「安全・安心な社会の実現へ~SDGsの達成に向けた私たちの取組~」を全体テーマとして,国内外の若者が議論する京都コングレス・ユースフォーラムを開催する。