3-2-4-1図は,少年院入院者の男女別の人員及び女子比の推移(昭和24年以降)を見たものである。入院者の人員については,昭和期の増減を経て平成初期は平成7年まで減少傾向にあったが,8年から増加し,12年(6,052人)に平成期のピークを迎えた後は減少傾向が続いており,30年は2,108人(前年比1.8%減)であった。女子比は,6~12%台で推移しており,22年以降は減少傾向にあったが,30年は前年より1.4pt上昇した。
3-2-4-2図は,少年院入院者の人員及び人口比の推移(平成元年以降)を年齢層別に見たものである。
その人員は,年長少年では,平成初期に増減を繰り返し,平成13年をピークとして,その後,おおむね減少傾向にあったが,30年は前年(1,085人)よりも増加し,1,099人(前年比1.3%増)であった。中間少年では,平成初期に緩やかな減少傾向が見られ,8年に増加に転じた後,年長少年と同様に13年をピークとして,その後,おおむね減少傾向にあり,30年は769人(同4.9%減)であった。年少少年では,6年まで減少した後,増加傾向となり,12年をピークとして,その後は若干の増減を繰り返し,24年から毎年減少しており,30年は240人(同5.1%減)であった。同年の年齢層別構成比は,年長少年(52.1%)が最も高く,次いで,中間少年(36.5%),年少少年(11.4%)の順であった(CD-ROM参照)。
人口比については,年長少年では平成8年から上昇し,15年をピークとして,その後,おおむね低下傾向にあるが,30年は,前年と比べ0.8上昇した。中間少年では,同様に8年から上昇し,年長少年を上回ることが多くなったが,14年をピークとして,その後おおむね低下傾向にあり,25年以降は毎年低下し続け,26年以降一貫して年長少年を下回るようになっている。年少少年では,7年から上昇傾向にあり,13年頃からおおむね横ばいで推移していたが,24年以降,毎年低下し続けている。
なお,平成30年における14歳未満の少年院入院者は,6人(いずれも男子)であった(矯正統計年報による。)。
3-2-4-3図は,平成元年・15年・30年における少年院入院者の非行名別構成比を男女別に見るとともに,30年については,これを更に年齢層別に見たものである。男子の構成比を見ると,元年は窃盗,傷害・暴行,道路交通法違反の順に高く,15年は窃盗,道路交通法違反,傷害・暴行の順に高いが,30年は,窃盗,傷害・暴行,詐欺の順となっている。また,元年及び15年は,毒劇法違反が一定の割合を占めていたが,30年は,同法違反による入院者はいなかった。30年における構成比を年齢層別に見ると,いずれの年齢層でも窃盗の構成比が最も高いほか,年齢層が上がるにつれて,強制性交等・強制わいせつの構成比が低くなり,詐欺の構成比が高くなっている。
女子の構成比を見ると,平成元年はぐ犯,覚せい剤取締法違反,窃盗の順に高く,15年は覚せい剤取締法違反,窃盗,ぐ犯の順に高いが,30年は窃盗,傷害・暴行,覚せい剤取締法違反の順であり,詐欺の構成比も高くなっている。また,男子と同様に,元年及び15年は,毒劇法違反が一定の割合を占めていたが,30年は,同法違反による入院者はいなかった。30年における構成比を年齢層別に見ると,年齢層が上がるにつれて,傷害・暴行の構成比が低くなり,詐欺の構成比が高くなっている。
なお,平成元年・15年・30年のいずれにおいても,女子は,男子と比べ,覚せい剤取締法違反及びぐ犯の構成比が高かった(女子の少年院入院者の特徴については,第4編第7章第2節2項(2)参照)。
3-2-4-4図は,平成元年・15年・30年における少年院入院者の教育程度別構成比を男女別に見たものである。男女共に,元年は中学卒業の構成比が最も高く,男子では6割,女子では5割を超えていたが,15年には中学卒業と高校中退の構成比の差が小さくなっている。30年は,元年及び15年と比べると,男女共に中学在学及び中学卒業の構成比が低く,高校在学及び高校中退の構成比が高くなっている。
3-2-4-5図は,資料を入手し得た平成4年・15年・30年における少年院入院者の就学・就労状況別構成比を男女別に見たものである。男女共に,15年及び30年は,4年と比べて学生・生徒の構成比が高い。また,女子は,男子と比べ,4年・15年・30年のいずれにおいても,無職者及び学生・生徒の構成比が高い。
3-2-4-6図は,平成元年・15年・30年における少年院入院者の不良集団関係別構成比を男女別に見たものである。男女共に,元年は,不良集団関係のない者の構成比は4割強であったが,30年は約6割と高くなっている。不良集団の種類を見ると,30年は,元年及び15年と比べ,地域不良集団及び不良生徒・学生集団の構成比に大きな差はないが,暴力団及び暴走族の構成比が低くなっている。
3-2-4-7図は,平成元年・15年・30年における少年院入院者の保護者状況別構成比を男女別に見たものである。保護者が実父母である者の構成比は,元年及び15年は,男子で5割弱,女子で4割弱を占めていたが,30年は,男子で33.9%,女子で26.3%にとどまり,逆に,保護者が実母のみである者の構成比が,30年では男女共に約4割と最も高かった。
3-2-4-8図は,平成30年における少年院入院者の保護者等からの被虐待経験別構成比を男女別に見たものである。統計の存在する27年6月以降で見ると,各年において,女子は,男子と比べ,被虐待経験があるとする者の構成比が高い(CD-ROM参照)。ただし,ここでいう被虐待経験の有無・内容は,入院段階における少年院入院者自身の申告等により把握することのできたものに限られている点に留意する必要がある。