未決拘禁者の処遇は,逃走及び罪証隠滅を防止するとともに,被疑者又は被告人としての防御権を尊重しつつ,適正な収容を確保するよう配慮しながら行っている。昼夜,居室内で処遇を行うのが原則であり,居室は,できる限り単独室としている。
未決拘禁者は,受刑者と異なり,衣類・寝具は自弁のものを使用するのが一般的であり,飲食物・日用品も,規律・秩序の維持その他管理運営上の支障を及ぼすおそれがない限り,広範囲に自弁のものの摂取・使用が認められている。書籍等(新聞紙及び雑誌を含む。)の閲覧は,懲罰として書籍等の閲覧を停止されている場合のほか,罪証隠滅の結果を生ずるおそれがなく,かつ,刑事施設の規律・秩序を害する結果を生ずるおそれがない限り許される。面会及び信書の発受は,刑事訴訟法上の制限があるほか,懲罰として面会及び信書の発受の停止をされている場合,被収容者において負担すべき外国語の翻訳・通訳の費用を負担しない場合,罪証隠滅の結果を生ずるおそれがある場合又は刑事施設の規律・秩序の維持上やむを得ない場合にも,制限を受けることがある。また,面会は,弁護人等との場合を除いて,原則として職員が立ち会い,信書の内容については検査が行われる。
なお,被勾留者等は,刑事施設に収容することに代えて留置施設に留置することができるとされており(代替収容),被勾留者は,起訴前においては留置施設に収容される場合が多い。留置施設に代替収容された者の一日平均収容人員について,平成15年度は1万3,539人であったが,30年度は7,760人であった(法務省矯正局の資料による。)。
死刑の判決が確定した者は,その執行に至るまで他の被収容者と分離して刑事施設に拘置される。死刑確定者の処遇においては,必要に応じ,民間の篤志家の協力を求め,その心情の安定に資すると認められる助言,講話等を実施している。死刑確定者の収容人員は,平成元年末現在は40人,15年末現在は56人,30年末現在は109人であった(矯正統計年報による。)。