平成12年5月,児童虐待の防止等に関する法律(平成12年法律第82号。以下この項において「児童虐待防止法」という。)が成立し,同年11月に施行された。同法は,児童虐待の禁止,児童虐待の防止に関する国及び地方公共団体の責務や被害児童の保護のための措置等を定め,児童虐待の防止等に関する施策を推進することなどを目的としたものである(本編第1章第2節6項(1)ア参照)。
その後,平成16年4月,児童虐待の防止等に関する法律の一部を改正する法律(平成16年法律第30号)が成立し(一部を除き同年10月施行),国及び地方公共団体の責務等が拡充され,19年5月,児童虐待の防止等に関する法律及び児童福祉法の一部を改正する法律(平成19年法律第73号)が成立し(20年4月施行),地方裁判所,家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官があらかじめ発する許可状により,強制的に家屋等に立ち入ることができる臨検捜索制度が創設されるなどしたほか,29年6月には,都道府県知事等が,保護者に対し,児童の身辺につきまとったりしてはならないことなどを命ずる,いわゆる接近禁止命令の対象を拡大することなどを内容とする児童福祉法及び児童虐待の防止等に関する法律の一部を改正する法律(平成29年法律第69号)が成立した(30年4月全面施行)。
なお,児童虐待防止法は,令和元年6月にも,児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律(令和元年法律第46号)により,その一部が改正され,親権者が児童のしつけに際して体罰を加えてはならないことなどが明記された(一部を除き2年4月施行)。