前の項目 次の項目        目次 図表目次 年版選択

令和元年版 犯罪白書 第1編/第1章/第2節/7

7 外事関係法令

平成期における外国人犯罪の動向や外国人犯罪者の処遇の状況については,第4編第9章参照。

(1)入管法

出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号。以下この節において「入管法」という。)は,本邦に入国し,又は本邦から出国する全ての人の出入国及び本邦に在留する全ての外国人の在留の公正な管理を図るとともに,難民の認定手続を整備することを目的とする法律である。

我が国の経済・社会の国際化が急激に進み,入国し在留する外国人が増加するとともにその活動内容も多様化した上,国際交流が活発化する中で不法就労外国人が急増していたことから,平成元年法律第79号による改正では,在留資格制度が整備され,入国審査手続の簡易化・迅速化と審査基準の透明性の改善が図られるとともに,不法就労問題に対処するための関連規定が整備され,不法就労活動をさせる雇主やあっせん者を処罰する不法就労助長罪が新設されるなどした(平成2年6月施行)。

平成9年法律第42号による改正では,国際的な密航請負組織が関与する集団密航事件の激増に対応するため,集団密航等に係る罪等が新設された(平成9年5月施行)。

平成11年法律第135号による改正では,不法入国又は不法上陸後本邦に不法に在留する行為や被退去強制外国人の再度の入国に対し適切かつ厳格に対処することなどを目的に,被退去強制者に対する上陸拒否期間の伸長に関する規定が整備されるとともに,不法入国又は不法上陸後に我が国に不法に在留する行為を処罰するため不法在留罪が新設された(平成12年2月施行)。

平成16年法律第73号による改正では,不法滞在者等を減少させるため,不法入国罪等に関する罰金刑の上限の大幅引上げ,上陸拒否期間の見直し,出国命令制度の新設,在留資格取消制度の新設等の措置が講ぜられた(不法滞在者等に関する部分は,平成16年12月施行)。

平成17年法律第66号による改正では,営利目的不法入国等援助の罪等に関する罰金刑の上限の引上げ,旅券等不正受交付罪の新設等の措置が講ぜられた(罰則に関する部分は平成17年7月施行)。

平成18年法律第43号による改正では,国民の生命と安全を守ることなどを目的として,<1>上陸審査時に外国人(特別永住者等を除く。)に指紋等の個人識別情報の提供を義務付けること(平成19年11月施行),<2>テロリストの入国等の規制を適切に行うため,退去強制事由の整備等を行うこと(18年6月施行),<3>本邦に入る船舶等の長に乗員・乗客に関する事項の事前報告を義務付けること(19年2月施行)などが盛り込まれた。

平成21年法律第79号による改正では,在留管理の機能を入管法上,一元的に定めることとされ,新しい在留管理制度の下,適法な在留資格をもって我が国に中長期間在留する外国人を対象として,法務大臣が在留管理に必要な情報を継続的に把握することとされ,我が国に中長期間在留する外国人に対し,上陸許可等に伴い,在留カードが交付されるようになった。中長期在留者が,住居地や就労先等に関し虚偽の届出をした場合や一定期間内に届出をしない場合は処罰の対象となるほか,正当な理由がなく定められた期間内に住居地の届出をしない場合や虚偽の住居地を届け出た場合は在留資格取消しの対象となった。また,在留カードの偽変造,行使等を処罰する規定が新設された(平成24年7月施行)。

(2)外国人登録法

外国人登録法(昭和27年法律第125号)は,本邦に在留する外国人の登録を実施することによって外国人の居住関係及び身分関係を明確にし,在留外国人の公正な管理に資することを目的とした法律であったが,平成21年法律第79号等による新しい在留管理制度の導入に伴い,平成24年7月に廃止された。

平成4年法律第66号による改正では,居住地等の変更登録義務違反に係る罰則について懲役刑・禁錮刑が廃止されるとともに,特別永住者等に対して指紋押なつに代わる同一人性確認手段の一つとして署名制度が導入されたことに伴い,新たに不署名に係る罪の規定が設けられた(平成5年1月施行)。また,平成11年法律第134号による改正では,非永住者に対する指紋押なつ制度も廃止されたことに伴い,指紋押なつに係る罪等が廃止された(12年4月施行)。