高齢者の刑法犯検挙人員は,平成20年までの10年間に急増した後,高止まりの状況にあり,高齢者の検察庁終局処理人員も過去20年間一貫して増加している。警察,検察,矯正及び更生保護の各手続段階におけるここ10年余りの全体の人員の減少ともあいまって,各段階の高齢者の比率は上昇傾向にある。特に,近年検挙された高齢者の約7割は,70歳以上の者であり,人口比で見ても,最近10年間では,他の年齢層が低下しているのに対し,70歳以上の者は横ばいであり,今後更に半世紀にわたって我が国の総人口に占める高齢者の比率が上昇を続けることが予測される中で,刑事司法における高齢者の存在は益々大きくなっていくものと考えられる。
70歳以上の女性高齢者の刑法犯検挙人員では再犯者の増加が顕著である。70歳以上の女性高齢者には,刑法犯検挙人員の9割以上が窃盗で,その手口のほとんどが万引きであるという特徴がある。