ストーカー規制法は,ストーカー行為(同一の者に対し,恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で,恋愛感情等の対象者又はその配偶者等に対し,同法に規定された「つきまとい等」の行為を反復してすること)を処罰する等ストーカー行為等について必要な規制を行うとともに,その相手方に対する援助の措置等を定める目的で制定された。
警察署長等は,申出を受けた場合に,つきまとい等をして相手方に不安を覚えさせる行為があり,かつ,更に反復のおそれがあると認めるときは,当該行為をした者に対し,更に反復して当該行為をしてはならない旨を警告することができる。また,平成28年12月のストーカー規制法改正(平成28年法律第102号)により,急に加害者の行為が激化して重大事件に発展するおそれがあるなどのストーカー事案の特徴を踏まえて,都道府県公安委員会は,警告の存在を要件とせずに直接禁止命令等をすることなどが可能となった(警告前置の廃止及び緊急禁止命令等。29年6月14日施行)。
ストーカー規制法による警告等の件数の推移(最近10年間)は,4-6-3-1表のとおりである。警告の件数は,平成26年以降3,000件を超えており,29年は3,265件(前年比297件減)であった。禁止命令等の件数は,20年以降,緩やかな増加傾向にあったが,29年は662件(同489件増。うち緊急禁止命令等は267件であった。)と急増した(警察庁生活安全局及び警察庁刑事局の資料による。)。
ストーカー規制法違反として,ストーカー行為又は禁止命令等違反行為が処罰対象であるほか,ストーカー行為をしている者による行為が殺人,傷害等の刑法その他の法律上の犯罪に該当する場合は,それらによっても処罰されることになる。ストーカー事案の検挙件数の推移(最近10年間)を罪名別に見ると,4-6-3-2図のとおりである。
ストーカー規制法違反は,平成24年から著しく増加しており,29年は23年(205件)の約4.5倍であった。また,他法令による検挙件数の総数も,24年以降高水準で推移しており,29年は23年(786件)の約2.2倍であった(CD-ROM参照)。