平成26年5月に施行された自動車運転死傷処罰法には,<1>危険運転致死傷罪が刑法から移されて規定されるとともに(自動車運転死傷処罰法2条1号ないし5号),危険運転致死傷罪の新たな類型として,通行禁止道路において重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転して人を死傷させた場合が追加され(同条6号),<2>アルコール,薬物又は病気の影響により正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転し,アルコール等の影響により正常な運転が困難な状態に陥り,人を死傷させた場合が,従来の危険運転致死傷罪より刑の軽い,新たな危険運転致死傷罪として新設された(同法3条)。また,<3>自動車運転過失致死傷罪が刑法から移されて過失運転致死傷罪として規定されるとともに(自動車運転死傷処罰法5条),<4>アルコール又は薬物の影響で正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転して過失により人を死傷させ,その運転のときのアルコール又は薬物の影響の有無又は程度が発覚することを免れる行為をした場合が,過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪として新設され(同法4条),<5>危険運転致死傷罪,過失運転致死傷罪及び過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪を犯した時に無免許運転であったときに刑を加重する規定が新設された(同法6条)。
平成29年における危険運転致死傷・過失運転致死傷等の罪名別検挙人員は,4-1-1-2表のとおりである。同年の危険運転致死傷の検挙人員は653人(前年比10.1%増)であり,うち致死事件は32人(同13人減)であった。