我が国は,外国から逃亡犯罪人の引渡しの請求を受けた場合,その国との間で逃亡犯罪人引渡条約を締結していなくても,逃亡犯罪人引渡法(昭和28年法律第68号)が定める要件及び手続に基づき,相互主義の保証の下で,その請求に応ずることができる。また,これによって外国に対して相互主義の保証を行うことが可能であるため,その国の法令が許す限り,逃亡犯罪人引渡条約を締結していない外国から逃亡犯罪人の引渡しを受けることもできる。
これに加えて,逃亡犯罪人引渡条約を締結することで,締約国間では,一定の要件の下に逃亡犯罪人の引渡しを相互に義務付けることになるほか,我が国の逃亡犯罪人引渡法で原則として禁止されている自国民の引渡しを被要請国の裁量により行うことを認めることにより,締約国との間の国際協力の強化を図ることができる。我が国は,「日本国とアメリカ合衆国との間の犯罪人引渡しに関する条約」(昭和55年(1980年)発効)及び「犯罪人引渡しに関する日本国と大韓民国との間の条約」(平成14年(2002年)発効)を締結している。
逃亡犯罪人の引渡請求については,条約の有無に関わらず,外務省を経由して引渡請求が相手国に伝えられる。また,我が国が引渡条約を締結していない外国に対し逃亡犯罪人の引渡しを求める場合,その要件・手続は,相手国の国内法令に従うこととなる。なお,我が国から外国に逃亡犯罪人の引渡しを要請する場合,検察庁が依頼する場合と警察等が依頼する場合とがある。
外国との間で逃亡犯罪人の引渡しを受け,又は引き渡した人員の推移(最近10年間)は,2-6-2-2表のとおりである。