平成18年から27年までの間に保護観察が終了した仮釈放者及び保護観察付執行猶予者について,<1>再処分率(保護観察期間中に再犯により刑事処分(起訴猶予の処分を含む。刑事裁判については,その期間中に確定したものに限る。)を受けた者の占める比率をいう。),<2>取消率(再犯又は遵守事項違反により仮釈放又は保護観察付執行猶予が取り消された者の占める比率をいう。)及び<3>取消・再処分率(いずれかに該当する者(双方に該当する場合は,1人として計上される。)の占める比率をいう。)の推移を見ると,5-1-4-2表のとおりである。
取消率は,仮釈放者,保護観察付執行猶予者共に,平成15年から低下傾向にあったが,26年からは2年連続で上昇している(CD-ROM参照)。なお,仮釈放者の再処分率が極めて低いのは,仮釈放者が再犯に及んで刑事裁判を受けることになった場合であっても,仮釈放期間中には刑事裁判が確定しないことが多いことなどが関係していると考えられる。
仮釈放者及び保護観察付執行猶予者のうち,相当の割合を占めている窃盗及び覚せい剤取締法違反により刑に処せられた者と,その他の罪により刑に処せられた者の取消・再処分率の推移(最近10年間)を見ると,5-1-4-3図のとおりである。仮釈放者,保護観察付執行猶予者共に,窃盗と覚せい剤取締法違反の取消・再処分率は,その他の罪名と比べ,一貫して高い。特に,保護観察付執行猶予者では,窃盗と覚せい剤取締法違反の取消・再処分率は,その他の罪名と比べ,9pt以上高く推移している。
仮釈放者及び保護観察付執行猶予者について,年齢層別の取消・再処分率の推移(最近10年間)を見ると,5-1-4-4図のとおりである。保護観察付執行猶予者では,29歳以下の者の取消・再処分率は,他の年齢層と比べ,一貫して10pt前後高く推移している。
平成27年に保護観察が終了した仮釈放者及び保護観察付執行猶予者について,保護観察終了時の就労状況別の取消・再処分率を総数と主な罪名別で見ると,5-1-4-5図のとおりである。いずれにおいても,保護観察終了時に無職であった者は,有職であった者と比べ,取消・再処分率が顕著に高い。
仮釈放者及び保護観察付執行猶予者について,保護観察終了時の就労状況別の取消・再処分率の推移(最近10年間)を総数と主な罪名別で見ると,5-1-4-6図のとおりである。窃盗は,仮釈放者,保護観察付執行猶予者共に,保護観察終了時に無職であった者の取消・再処分率が,平成25年まで低下傾向にあったが,26年からは上昇している。
5-1-4-7図は,平成27年に保護観察が終了した仮釈放者及び保護観察付執行猶予者のうち,取消・再処分を受けた者について,保護観察開始時から取消・再処分までの期間別構成比を総数と主な罪名別で見たものである。仮釈放者,保護観察付執行猶予者共に,窃盗の方が,覚せい剤取締法違反と比べ,保護観察開始時から取消・再処分までの期間が短い者の割合が高い。
平成18年から27年までの間に保護観察が開始された仮釈放者及び保護観察付執行猶予者について,仮釈放又は保護観察付執行猶予の取消状況を見ると,5-1-4-8表のとおりである。