5-1-2-1表は,平成27年に起訴された者(過失運転致死傷等及び道交違反を除く。)のうち,有前科者(前に罰金以上の刑に処せられたことがある者に限る。以下この項において同じ。)の人員及び有前科者率(起訴人員に占める有前科者の人員の比率をいう。以下この項において同じ。)を起訴罪名別に見たものである。有前科者率は,総数では48.1%であり,罪名別に見ると,覚せい剤取締法違反及び毒劇法違反で高く,70%を超えている。有前科者の人員は,窃盗が最も多く,次いで,覚せい剤取締法違反であるが,有前科者のうち実刑前科を有する者(前に懲役又は禁錮の実刑に処せられたことがある者に限る。)の比率は,覚せい剤取締法違反(66.4%)の方が窃盗(46.0%)よりも高かった。
5-1-2-2表は,平成27年に起訴された者のうち,犯行時に執行猶予中,仮釈放中又は保釈中であったものの人員を起訴罪名別に見たものである。執行猶予中,仮釈放中又は保釈中の犯行により起訴された者の人員は,いずれの区分においても,窃盗が最も多く,次いで,覚せい剤取締法違反であった。
窃盗と覚せい剤取締法違反の起訴人員について,初犯者(前に罰金以上の刑に処せられたことがない者をいう。)・有前科者の人員及び有前科者率の推移(最近20年間)を見ると,5-1-2-3図のとおりである。
窃盗の起訴人員の有前科者率は,おおむね横ばいで推移している。もっとも,平成18年の刑法の改正(平成18年法律第36号)により窃盗罪に罰金刑が導入されたため,窃盗の起訴人員に占める有罰金前科者(前科が罰金のみである者)の人員の比率について見ると,27年は14.4%であり,罰金刑導入前の17年(7.6%)と比べて6.8pt上昇している(CD-ROM参照)。
窃盗の起訴人員のうち,有前科者の人員は,平成16年まで増加傾向にあったが,その後,おおむね横ばいで推移し,22年からは減少し続けており,27年は2万198人(前年比1.2%減)であった。もっとも,最近10年間における有前科者の人員の推移について,男女別に比較すると,18年と比べて,男性(27年は1万7,014人)では24.7%減少しているのに対し,女性(同3,184人)では91.7%増加している。また,年齢層別に比較すると,18年と比べて,64歳以下の年齢層(同1万6,212人)では27.7%減少しているのに対し,65歳以上の高齢者層(同3,986人)では118.4%増加と10年間で約2倍になっている(検察統計年報による。)。
覚せい剤取締法違反の起訴人員の有前科者率は,平成10年から上昇傾向にある。有前科者の人員は,18年からおおむね横ばいで推移している。