平成28年5月,刑事訴訟法等の一部を改正する法律(平成28年法律第54号)が成立し,同年6月に公布された。同法は,現在の捜査・公判が取調べ及び供述調書に過度に依存した状況にあるとの指摘を踏まえ,このような状況を改めて,刑事手続を時代に即したより機能的なものとするため,証拠の収集方法の適正化・多様化及び公判審理の充実化を図ろうとするものであり,具体的には,取調べの録音・録画制度の導入,証拠収集等への協力及び訴追に関する合意制度の導入,通信傍受の合理化・効率化,被疑者国選弁護制度の対象事件の拡大,犯罪被害者等及び証人を保護するための措置の導入等を内容とするものである。既に一部が施行済みであり,その余についても段階的に施行される。
法務大臣は,平成27年10月,法制審議会に対し,性犯罪に対処するための刑法の一部改正に関する諮問を行い,同審議会が調査審議した結果,28年9月,強姦罪等の構成要件の見直し及び法定刑の引上げ,性犯罪の非親告罪化等を内容とする刑法の改正について,法務大臣に答申がなされた。
平成28年9月末現在,この答申を受け,法務省において法案提出に向けた作業が行われている。