新たな少年院法では,在院者に適切な処遇を実施するために,在院者の権利義務関係や職員の権限が明確化され,法務大臣に対する救済の申出等の制度を創設するなど,不服申立制度が整備されるとともに,各少年院に外部の委員による視察委員会を設置するなど,社会に開かれた施設運営の推進が図られている(平成27年6月1日施行。同法のうち,実地監査に関する規定及び監査官に対する苦情の申出に関する規定については,同年7月1日施行)。
各少年院には,法務大臣が任命する7人以内の外部の委員で構成され,少年院を視察し,その運営に関し,少年院の長に対して意見を述べる少年院視察委員会が置かれることとなった。在院者は,委員による面接の実施を希望する場合には,これを申し出ることができるほか,委員会に対する意見又は提案等がある場合には,意見又は提案等を記載した書面を少年院内に設置された提案箱に投かんすることができる。
在院者には,できる限り戸外で,健全な心身の成長を図るため適切な運動を行う機会を与えることとされた。運動においては,矯正教育における体育指導とは異なり,在院者の自主性を尊重している。
また,少年院においては,職員である医師等又は少年院の長が委嘱する医師等が,在院者の診療を行い,必要な医療上の措置を執っている。現在,専門的に医療を行う少年院(第3種)としては,関東医療少年院及び京都医療少年院が設置されている。
在院者の収容を確保しつつ,施設の機能を的確に果たすとともに,集団生活をしている在院者の安全で秩序ある生活及び適切な処遇環境を確保するためには,施設の規律及び秩序が維持されることが極めて重要である。そのため,新たな少年院法においては,在院者に対する不利益処分である懲戒を行うことができる要件や手続等が明確化された。
少年院法の施行に伴い,不服申立制度として,救済の申出及び苦情の申出の制度が整備された。救済の申出は,自己に対する少年院の長の措置その他自己が受けた処遇について苦情があるときに,法務大臣に対して,救済を求める申出をすることができる制度であり,苦情の申出は,自己に対する少年院の長の措置その他自己が受けた処遇について,監査官及び少年院の長に対して申出をすることができる制度である。