経済・社会が国際的な結び付きを強め,人,物,金,情報等の国際的流動が活発になる中で,国際的な犯罪に適切に対処できる刑事司法の在り方が重要となり,以下のとおり,国際連合(以下「国連」という。)や先進国首脳会議(サミット)を含む各種の国際会議等において,刑事司法の制度・運用面での協調が進められてきた。
平成27年(2015年)4月にはカタール・ドーハにおいて,刑事司法の各領域にわたる政策の提案,意見交換を目的として,国連の主催により昭和30年(1955年)から5年ごとに開催されてきた国連犯罪防止刑事司法会議(コングレス)の第13回会議が開催され,「犯罪防止・刑事司法のより広い国連アジェンダへの統合」をテーマに議論が行われ,参加国の政治的決意を表明する「ドーハ宣言」が採択されるとともに,次回,平成32年(2020年)の第14回コングレスを我が国で開催することが決定された。また,国連経済社会理事会の下に国連における刑事司法分野の政策決定に携わる機能委員会として設置されている犯罪防止刑事司法委員会(コミッション)は,毎年開催されているが,我が国は設立当初から同委員会の構成国に選出されており,平成27年(2015年)5月に開催された第24会期会合においても積極的に関与した。