更生保護施設は,主に保護観察所から委託を受けて,住居がなかったり,頼るべき人がいなかったりなどの理由で直ちに自立することが難しい保護観察又は更生緊急保護の対象者を宿泊させ,食事を給与するほか,就職援助,生活指導等を行う施設である。
平成27年4月1日現在,全国に103の施設があり,更生保護法人により100施設が運営されているほか,社会福祉法人,特定非営利活動法人及び一般社団法人により,それぞれ1施設が運営されている。その内訳は,男子施設89,女子施設7及び男女施設7である。収容定員の総計は2,349人であり,男子が成人1,844人と少年324人,女子が成人134人と少年47人である(法務省保護局の資料による。)。
各年の更生保護施設へ新たに委託を開始した人員の推移(最近20年間)は,2-5-5-3図のとおりである。
平成26年度における更生保護施設退所者(応急の救護等及び更生緊急保護のほか,任意保護(更生緊急保護の期間を過ぎた者に対する保護等,国からの委託によらず,被保護者の申出に基づき,更生保護施設が任意に保護すること)による者を含む。)の更生保護施設における在所期間は,2-5-5-4図のとおりである。89.0%の者が6月未満で退所している。平均在所日数は76.9日(前年度比0.5日短縮)であった。退所先については,借家(28.8%),就業先(18.4%),親族・縁故者(14.7%)の順であった。退所時の職業については,労務作業(46.9%),サービス業(7.7%)の順であり,無職は36.2%であった(法務省保護局の資料による。)。
更生保護施設では,生活技能訓練(SST),酒害・薬害教育等を取り入れるなど,処遇の強化に努めており,平成26年度においては,SSTが32施設,酒害・薬害教育が41施設で実施されている(法務省保護局の資料による。)。
また,平成21年度から,法務省及び厚生労働省が連携し,適当な帰住先がなく,かつ,高齢又は障害により直ちに自立することが困難である受刑者等に対する地域生活定着促進事業(23年度までの名称は,地域生活定着支援事業)を行っているが(本編第4章第2節5項及び本章第1節2項参照),この事業において,出所後直ちに福祉による支援を受けることが困難な者は,一旦更生保護施設において受け入れ,福祉への移行準備及び社会生活に適応するための指導や助言を内容とする特別処遇を行っている。その役割を担うために指定された57の施設(指定更生保護施設)では,福祉の専門資格等を有する職員の配置や,バリアフリー等の必要な施設整備等を行っている。
さらに,平成25年度からは,薬物事犯者に対して重点的な処遇を実施する施設を「薬物処遇重点実施更生保護施設」として指定する取組を開始しており,27年度は全国で15の施設を指定している(法務省保護局の資料による。)。