平成23年6月,刑法の一部改正(平成23年法律第74号。同年7月14日施行)により,不正指令電磁的記録作成等(いわゆるコンピュータ・ウイルスの作成・供用等)の罪が新設された(第2編第6章1項及び第7章第1節6項参照)。また,24年3月,不正アクセス禁止法が改正され(平成24年法律第12号。同年5月1日施行),他人のIDやパスワードの不正取得等の罪が新設され,不正アクセス行為に対する罰則も,法定刑の上限が懲役1年から3年に引き上げられるなど強化された。
1-3-3-1図は,不正アクセス行為(不正アクセス禁止法11条に規定する罪をいう。)の認知件数の推移(最近10年間)を,国内・海外のアクセス元別に見たものである。認知件数の総数は,平成22年から2年続けて減少したが,23年を底に増加に転じ,26年は23年の約4倍であった。依然として国内からのアクセスが多くを占めているが,26年は,アクセス元不明が急増した。
平成26年における不正アクセス行為の認知件数について,被害を受けた特定電子計算機(ネットワークに接続されたコンピュータをいう。)のアクセス管理者(特定電子計算機を誰に利用させるかを決定する者をいう。)別の内訳を見ると,「一般企業」の被害が最も多く(3,468件,構成比97.8%),次いで,「大学・研究機関等」(56件,同1.6%),「プロバイダ」(16件,同0.5%),「行政機関」(3件,同0.1%)の順であった。また,不正アクセス行為後の行為の内訳を見ると,「インターネットバンキングの不正送金」が最も多く(1,944件,構成比54.8%),次いで,「他人へのなりすまし」(1,009件,同28.5%),「インターネットショッピングの不正購入」(209件,同5.9%),「情報の不正入手」(177件,同5.0%)の順であった(警察庁生活安全局,総務省情報流通行政局及び経済産業省商務情報政策局の資料による。)。
コンピュータ・電磁的記録対象犯罪(電磁的記録不正作出・毀棄等,電子計算機損壊等業務妨害,電子計算機使用詐欺及び不正指令電磁的記録作成等),支払用カード電磁的記録に関する罪及び不正アクセス禁止法違反の検挙件数の推移(最近5年間)は,1-3-3-2表のとおりである。
なお,罪名ごと(罪名別の統計が存在するものに限る。)の検察庁終局処理人員は,CD-ROM資料1-10参照。