裁判所の入院決定を受けた者は,指定入院医療機関(厚生労働大臣が指定する。)に入院して,この制度に基づく専門的な医療を受けることになる。
保護観察所は,対象者の円滑な社会復帰を図るため,入院当初から,退院に向けた生活環境の調整を行う。平成25年における生活環境調整の開始件数(移送によるものを除く。)は275件,同年末現在の係属件数は742件であった(保護統計年報による。)。
指定入院医療機関の管理者は,対象者について,入院を継続させて医療を行う必要があると認める場合は,6月ごとに,入院継続の確認の申立てをしなければならず,他方,入院を継続させて医療を行う必要があると認めることができなくなった場合は,直ちに退院の許可の申立てをしなければならない。また,対象者又はその保護者若しくは弁護士である付添人は,いつでも,退院の許可又は医療の終了の申立てをすることができる。これらの申立てを受けて,裁判所は,医療継続の要否等を審判により決定する。平成25年には,指定入院医療機関の管理者による退院許可の申立て(回付によるものを除く。)は222件,対象者等による退院許可・医療終了の申立て(回付によるものを除く。)は89件受理され,また,退院許可決定(退院を許可するとともに入院によらない医療を受けさせる旨の決定をいう。以下この節において同じ。)は166件,医療終了決定は35件なされている(司法統計年報による。)。