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平成26年版 犯罪白書 第3編/第2章/第1節/3

3 保護処分に係る手続の流れ
(1)家庭裁判所の決定による保護観察

家庭裁判所の決定により保護観察に付された少年は,原則として20歳に達するまで(その期間が2年に満たない場合には2年間)又は保護観察が解除されるまで,保護観察官又は保護司から,改善更生のために必要な指導監督及び補導援護を受ける(保護観察の概要については,第2編第5章第2節P76参照)。

なお,家庭裁判所は,少年を保護観察に付する際,非行性の進度がそれほど深くないなど,短期間の保護観察により改善更生を期待できる者について,短期保護観察又は交通短期保護観察が相当である旨の処遇勧告を行い,これらの処遇勧告がなされた場合,保護観察は,この勧告に従って行われる。

(2)児童自立支援施設・児童養護施設送致

児童自立支援施設・児童養護施設送致の決定を受けた少年は,児童福祉法による施設である児童自立支援施設又は児童養護施設に入所措置される。

(3)少年院収容と仮退院後の保護観察

少年院は,主として,家庭裁判所が少年院送致の決定をした少年を収容し,矯正教育を行う施設であり,平成26年4月1日現在,全国に52庁(分院3庁を含む。)が設置されている。

少年院での収容期間は,原則として20歳に達するまでであるが,少年院の長は,20歳に達した後も,送致の時から1年間に限り,収容を継続することができる。在院者は,収容期間の満了により退院するが,家庭裁判所は,一定の場合には,少年院の長の申請により,23歳を超えない期間を定めて,収容を継続する決定をする。さらに,少年院の長の申請により,26歳を超えない期間を定めて,医療少年院での収容を継続する決定をすることもある。

他方,在院者は,地方更生保護委員会の決定により,収容期間の満了前に仮退院を許されることがある。この場合,仮退院した後は,収容期間の満了日又は退院の決定があるまで保護観察に付される。

少年院の管理運営及び在院者の処遇は,昭和23年に制定された少年院法に基づいて行われているが,平成26年6月,新たな少年院法(平成26年法律第58号)が成立した。同法では,従来の年齢区分を撤廃するなど少年院の種類の見直しが図られるとともに,矯正教育の目的・内容・方法等を明確化し,在院者の特性に応じて計画的・体系的・組織的な矯正教育を実施すること,さらには,保護観察所との連携の下,帰住先の確保や就業の援助などの社会復帰支援を実施することなどが明文化され,退院者や保護者等からの相談に応じることのできる制度も導入された。また,在院者に適切な処遇を実施するために,在院者の権利義務関係や職員の権限が明確化され,法務大臣に対する救済の申出等の制度を創設するなど,不服申立制度が整備されるとともに,各少年院に有識者による視察委員会を設置するなど,社会に開かれた施設運営の推進が図られている。