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平成25年版 犯罪白書 第7編/第4章/第3節/3

3 社会内処遇における配慮

保護観察所では,日本語を十分に理解できない外国人保護観察対象者やその家族に対する配慮として,保護観察の説明書,遵守事項通知・誓約書,居住届出書,転居許可申請書等の関係書類について,英語,中国語,韓国語,ポルトガル語,スペイン語,タガログ語,ペルシャ語等の多言語の翻訳版を整備しているほか,依頼できる通訳人をあらかじめ複数確保するなどしている。また,外国人が集住する地域における保護観察処遇においては,地域住民の立場から居住外国人の支援等に関わっている保護司に外国人保護観察対象者を担当させ,保護司の地域性をいかして外国人定住者向けの各種支援サービスを社会資源として有効に活用している。


事例 就労を継続しながら地域の学習支援教室に通い高校に合格した外国人少年の例

ある日系南米人の少年は,日本で出生し母国での生活経験は無かった。中学校入学後から不良交友,バイク盗や万引き等の非行が始まり,窃盗により初等少年院送致となった。少年院入院後の生活環境の調整において,引受人となる実母は,本人の交友関係改善のため,本人が仮退院となる前に転居した。

仮退院中の保護観察においては,就労の継続や共犯者との交際の禁止が遵守事項として設定され,早期の就労とその継続,定時制高校への入学等によって,将来の目標設定を確立させることが目標とされた。

本人は仮退院後すぐに自動車関連会社への就職が決まり就労を開始したが,本人が高校進学を希望したため,受験準備のため地元の特定非営利活動法人が開催する外国人少年向けの基礎学習支援教室に通うこととなった。就業先は,高賃金ではなかったものの,人間関係に恵まれるなど,労働環境も良好だったことから,保護司は本人に対して,転職を考えずに地道に勤務を続けるよう繰り返し励ました。仕事と勉強を両立させながら受験の準備を行った結果,本人は夜間部の高校に合格し,その後も安定した生活を続け,退院許可により保護観察は終了した。