我が国で流通する偽ブランド品等の知的財産権侵害品の大半は中国等のアジア諸国から密輸入されている(本編第2章第2節1項(1)エ参照)。また,海外において我が国の企業の知的財産権が侵害される例もあり,商標権,著作権等の知的財産権侵害事犯のグローバル化が進んでいる。このような知的財産権侵害事犯対策として,まず,国内での侵害品流通等に関しては,事案に応じて,商標法や著作権法等の罰則が適用されている。また,我が国は,知的財産権侵害,特に模倣品・海賊版の拡散に効果的に対処するための包括的な国際的な枠組みである偽造品の取引の防止に関する協定を締結した。
ソマリア沖での海賊事犯等を受け,我が国の経済社会及び国民生活にとって船舶航行の安全確保が極めて重要であること等に鑑み,海賊行為の処罰及び海賊行為に適切かつ効果的に対処するため,海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律(平成21年法律第55号)が成立した。これにより,公海や我が国領海等における海賊行為に対する罰則が定められるとともに,海上保安官や自衛官が,一定の要件の下に,海賊行為に対して武器使用ができるなど,海賊行為への対処のために必要な事項が定められた。また,平成23年には,我が国の商船がソマリア沖で銃撃された事件に関して,4人が同法違反の罪で公判請求されるなどした。