法務総合研究所では,少年院に在院している来日外国人少年等の特性と非行の背景を明らかにするとともに,少年院における処遇及び出院後の状況等を把握することを目的として,外国人少年院在院者等の調査を実施した。調査対象者は,平成22年6月1日から11月30日の間に全国の少年院に在院した,<1>外国籍を有する者(特別永住者を除く。)及び<2>日本国籍を有するが,日本語が不自由であるなどして日本人少年と異なる配慮を必要とする者である。
調査対象者総数は103人で,性別は,男子が94人(91.3%),女子が9人(8.7%)であり,入院時の年齢は,13歳が1人(1.0%),14歳が4人(3.9%),15歳が13人(12.6%),16歳が17人(16.5%),17歳が23人(22.3%),18歳が21人(20.4%),19歳が24人(23.3%)である。
調査対象者については,属性等(性別,年齢,国籍等や来日・在留の状況等),少年院送致決定に係る非行(以下この節において「本件非行」という。)の内容等,入院前の生活・環境等(保護者の状況,日本語能力,教育程度等),少年院における処遇状況・出院状況(処遇課程,出院時の引受人等)等を調査した(ただし,調査対象者のうち,平成22年6月2日から23年11月30日の間に仮退院又は退院により出院しなかった者13人については,出院時の情報に基づく処遇状況・出院状況等の調査は実施していない。)。調査対象者の基本属性,本件非行内容,入院前の生活・環境等及び少年院における処遇状況・出院状況等については,少年院の職員に対する質問紙調査を実施し,来日及び在留状況等については,23年3月15日現在の法務省入国管理局の資料に基づいて調査を実施した。また,調査対象者と比較するため,法務省大臣官房司法法制部の資料に基づき,22年の少年院入院者のうち日本国籍を有する者3,524人(以下この節において「日本人入院者」という。)及び22年6月から23年11月の少年院出院者総数のデータを分析に用いた。