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1 少年調査 家庭裁判所は受理した少年について,各種の方法によって環境や資質の調査を行ない,適当と認められる処分を行なうのであるが,右の調査にあたるものとして,家庭裁判所に家庭裁判所調査官があり,また法務省所管のものとして少年鑑別所がある。少年鑑別所の機能や活動状況については,別に少年鑑別所の項で詳細に述べるので,ここでは,家庭裁判所の審判のための心身の鑑別が,最近どの程度に行なわれているかをみるにとどめよう。III-37表は,最近五年間に終局決定のあった道交法違反事件以外の一般少年保護事件について,心身鑑別の有無および心身鑑別を行なった機関の内訳を示すものである。心身鑑別を行なった者の総数は,年によって多少の変動はあるが,終局決定総数のおおよそ二〇%前後にすぎない。鑑別を行なっている機関の中では少年鑑別所が圧倒的に多く,鑑別を行なった総数の八四%ないし八六%を占めている。
III-37表 心身鑑別の有無別人員(昭和34〜38年) 家庭裁判所では,少年に対する処分を決定する前に,相当の萌間,家庭裁判所調査官の観察に付し,場合によっては一定の補導措置を講じながらその反応をみて,少年の個性や環境の特性を見きわめることができるようになっている(少年法第二五条)。これを試験観察という。このような試験観察に付された少年の数は,III-38表にみるように,受理総数のおおむね二%前後である。これを道交違反事件とそれ以外の一般事件とに分けてみると,昭和三八年において,道交違反事件では受理人員数の一・八%,一般事件では受理人員数の四・六%となっているが,道交違反事件における試験観察数の増加が注目される。 III-38表 試験観察人員(昭和34〜38年) 試験観察の内容についてみると,昭和三七年の試験観察決定総数一五,二八六人のうち,適当な施設,団体または個人に補導委託の措置をとったものが三四・四%であり,遵守事項を定めてその履行を命ずるとか,条件をつけて保護者に引き渡したりする措置をとったものなどが六五・六%となっている。試験観察の期間を,昭和三七年に試験観察が終了した事件につき,道交違反事件とそれ以外の一般事件とに分けてみると,III-39表の示すとおり,一般事件では,月数別にみると三月以内から六月以内というところが最も多く,道交違反事件では,一月以内から四月以内が最も多い。なお,いずれの事件においても,一年をこえるものが相当あることが注目される。 III-39表 試験観察の期間(昭和37年) |