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 昭和40年版 犯罪白書 第三編/第二章/二 

二 学校程度別と少年犯罪

 III-21表は,昭和三四年から同三八年までに警察に検挙された在学中の刑法犯少年およびぐ犯少年等について,その学校程度別を示したものである。すなわち,昭和三八年についてみると,数の上で最も多いものは中学生の三〇八,九九二人であり,ついで高校生二〇五,二五〇人,小学生九五,七七四人の順となっている。大学生は,(この統計では大学生の中に成年者も含んでいる)一三,八六一人で,最も少ない。これを在学生一,〇〇〇人当りの比率でみると,小学生九・一人,中学生四四・二人,高校生五二・六人,大学生一八・二人であって,高校では約一九人に一人,中学では,約二三人に一人の割合で刑法犯少年およびぐ犯少年等がいることとなる。なお,このほかに,特別法犯少年やいわゆる学校問題児で刑法犯,ぐ犯,特別法犯のいずれにも当らない少年もかなりいるであろうと思われる。ちなみに,昭和三九年に東京都中学校々長会が都下三三一校の在学非行または問題少年を調査した結果によると,一校平均二五・八人の非行または問題少年がいると報告されている。

III-21表 非行在学生数の推移(昭和34〜38年)

 このように在学少年の非行問題はうれうベき状況にあるが,これを最近五か年間の推移でみると,III-21表に示すように,小学生は別として,その他はいずれも増加の傾向にある。とくに中学生は五か年間に一三万人弱,高校生は八万人弱と大幅に増加している。これを在学生一,〇〇〇人当りの率でみると,高校生が五か年間に一三人弱,中学生が九人増加している。
 次に,学校別と罪種との関係をみると,刑法犯についてはIII-22表に示すとおりであって,刑法犯を犯した小,中学生の八〇%以上が財産犯罪によって検挙されている。その大部分は,窃盗である。凶悪犯罪はさすがにどの在学生にも少ないが,粗暴犯罪は高校生が三〇・三%で最も多く,大学生二三・七%,中学生一三・六%の順とたっている。

III-22表 学校程度別非行在学生の罪種(刑法犯)(昭和38年)

 性犯罪は,高校生の比率が最も高い。大学生に多い罪種は「その他刑法犯」であるが,これは,すでに述べたように業務上過失致死傷が大部分となっていると考えられる。このようにして,大まかにいえば,小・中学生の一部は窃盗,高校生の一部は粗暴犯および性犯罪,大学生の一部は過失犯罪に陥りやすいということになる。しかし,昭和三四年に比較すれば,昭和三八年には高校生の窃盗が二・三倍,中学生の恐かつが一・八倍,同じく強かんが一・四倍となっていることは留意を要する。
 学校別とぐ犯行為の内容との関係をIII-23表によってみると,小・中学生に多いものは不健全娯楽,怠学などであり,高校生になると飲酒,喫煙などが目立つ。婦女誘惑,不純異性交遊など性的不良行為は,数は少いが,年長になるに従って高率になっている。これに対して,けんか,凶器所持などの粗暴不良行為は,小・中学生に高率である。

III-23表 学校程度別非行在学生のぐ犯行為(昭和38年)

 次に,家庭裁判所が昭和三八年中に終局決定をした一般保護少年について,学校程度別に処分結果をみると,III-24表に示すように学校程度の高い者の方が検察官送致されている率が高く,そして保護処分に付されている率は低くなっている。中学,高校在学生の九割前後の者は不処分,または不開始の決定で終っており,保護処分に付せられた者は,中学生では一一・二%であり,高校生では四・九%となっている。

III-24表 非行在学生の終局決定(昭和38年)