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平成24年版 犯罪白書 第6編/第2節/2

2 裁判員制度の実施状況

平成21年から23年までの裁判員裁判対象事件(裁判員裁判の対象事件及びこれと併合された事件)の通常第一審の新規受理・終局処理(移送等を含む。以下この項において同じ。)人員を罪名別に見ると,6-2-2表のとおりである。23年においては,新規受理人員では,強盗致傷(延べ411人)が最も多く,次いで,殺人(同370人),覚せい剤取締法違反(同173人),現住建造物等放火及び傷害致死(各延べ167人)の順であり,終局処理人員では,殺人(自殺関与及び同意殺人を除く。以下,本節において同じ。345人),強盗致傷(331人),覚せい剤取締法違反(169人),現住建造物等放火(155人),傷害致死(134人)の順であった。


6-2-2表 裁判員裁判対象事件 通常第一審の新規受理・終局処理人員(罪名別)
6-2-2表 裁判員裁判対象事件 通常第一審の新規受理・終局処理人員(罪名別)

なお,同表に参考として掲げた終局処理人員は,平成16年から20年までは,裁判員法施行後であったとすれば裁判員裁判の対象事件となったと想定される事件(以下この項において「想定対象事件」という。)についてのものであり,21年は裁判員裁判対象事件及び想定対象事件についての合計である。

6-2-3表は,平成23年に通常第一審で終局判決に至った裁判員裁判対象事件について,地方裁判所(支部を含む。以下この項において同じ。)ごとに,判決人員及び選任確率基準値(その人数に1人の割合で裁判員に選任されたという数値)を見たものである。同年中,各地方裁判所の管轄区域内においては,およそそれぞれの選任確率基準値に1人の割合で裁判員に選任されたことになる。


6-2-3表 裁判員裁判対象事件 通常第一審判決人員・裁判員選任確率基準値(地方裁判所別)
6-2-3表 裁判員裁判対象事件 通常第一審判決人員・裁判員選任確率基準値(地方裁判所別)

6-2-4表は,平成23年に通常第一審で終局判決に至った裁判員裁判対象事件における裁判員等の選任状況を見たものである。裁判員候補者名簿登載者の中から選定された候補者のうち,選任手続期日への呼出しが行われた者(呼出しが取り消された者を除く。)は延べ5万6,332人,そのうち出席した者は延べ4万4,150人であり,出席者の占める比率(出席率)は78.4%であった。また,裁判員等に選任された者は1万1,803人であり,裁判員候補者名簿登載者に占める比率(選任率)は3.7%であった。


6-2-4表 裁判員裁判対象事件 裁判員等の選任状況
6-2-4表 裁判員裁判対象事件 裁判員等の選任状況

平成23年に通常第一審で終局判決に至った裁判員裁判対象事件について,開廷回数別構成比及び審理期間(新規受理から終局判決までの期間)別構成比を見ると,6-2-5図のとおりである。開廷回数は,大多数が5回以下であり,3回以下は41.0%を占め,平均は4.1回であった。また,審理期間は,6月以内のものは35.3%であり,平均で8.9月であった。そのうち,公判前整理手続に付された事件(起訴後の罰条変更等により裁判員裁判対象事件となったため,公判前整理手続に付されなかったものを除く。)における公判前整理手続の平均期間は6.4月であり,公判前整理手続に付された裁判員裁判対象事件の終局人員における公判前整理手続期日の回数は,3回以下が38.3%,4回以上6回以下が37.4%,7回以上が24.3%であった(最高裁判所事務総局の資料による。)。


6-2-5図 裁判員裁判対象事件 開廷回数別・審理期間別構成比
6-2-5図 裁判員裁判対象事件 開廷回数別・審理期間別構成比

6-2-6表は,平成23年に通常第一審で終局判決に至った裁判員裁判対象事件について,罪名ごとにその有罪・無罪の別及び有罪人員の科刑状況を見たものである。


6-2-6表 裁判員裁判対象事件 通常第一審における判決人員(罪名別・裁判内容別)
6-2-6表 裁判員裁判対象事件 通常第一審における判決人員(罪名別・裁判内容別)

6-2-7図は,裁判員裁判の対象となる主な罪名について,通常第一審における有罪人員の科刑状況(平成21年から23年の累計)を,裁判員裁判による審理の有無(裁判員裁判・裁判官裁判)別に見たものである。


6-2-7図 裁判員裁判・裁判官裁判別の科刑状況別構成比(罪名別)
6-2-7図 裁判員裁判・裁判官裁判別の科刑状況別構成比(罪名別)

平成23年において,裁判員裁判による終局裁判に対する控訴事件の終局人員は552人であり,そのうち控訴棄却は444人と最も多かった。そのほか,控訴取下げが63人,破棄自判が41人(自判内容が有罪の者38人,無罪の者2人,一部無罪の者1人)であった。