家庭裁判所で観護措置(少年鑑別所送致)の決定がなされた少年に対して行う鑑別(収容鑑別)の標準的な流れは,3-2-3-5図のとおりである。少年鑑別所では,鑑別面接,心理検査,行動観察,医学的診断の結果に,外部から得られた情報を加えて検討し,在宅保護(保護観察等),収容保護(少年院送致等)等の意見(鑑別判定)を決定している。鑑別判定の結果は,少年の資質の特徴,非行要因,改善更生のための処遇指針等と共に鑑別結果通知書に記載されて家庭裁判所に送付され,審判の資料となる。また,保護処分が決定された場合には,少年院,保護観察所に送付され,処遇の参考に供される。
3-2-3-6表は,平成23年に鑑別判定を終了した少年(観護措置に付された者に限り,退所した年で計上している。)について,鑑別判定と審判決定等との関係を見たものである。
ア 家庭裁判所からの請求による在宅鑑別
家庭裁判所関係では,収容鑑別が大多数を占めるが,少年を収容することなく,家庭裁判所,少年鑑別所等に来所させて行う在宅鑑別もある。平成23年における在宅鑑別の受付人員は,228人であった(矯正統計年報による。)。
イ 法務省関係機関からの依頼鑑別
平成23年における法務省関係機関からの依頼鑑別の受付人員の内訳は,検察庁が7人,少年院又は刑事施設が4,356人,地方更生保護委員会又は保護観察所が5,929人であった(矯正統計年報による。)。
なお,依頼鑑別の内容は,対象者の資質鑑別,個別式又は集団式の心理テストの実施,処遇計画の策定・変更に資する面接・調査の実施等である。
ウ 一般少年鑑別等
一般市民,公私の団体等からの依頼を受けて行う鑑別であり,その内容は,非行のほか,性格,しつけ,生徒指導等多岐にわたっている。また,「子ども・若者育成支援推進法」(平成21年法律第71号)に基づき,地域の子ども・若者育成支援に携わる関係機関とのネットワークに参画するなど,心理学等の専門的知識・技能等を地域社会に積極的に提供するよう努めている。