1989年,サミットの宣言を受けて,金融活動作業部会(FATF:Financial Action Task Force)が設立された。FATFは,1990年,薬物犯罪に関するマネー・ローンダリングの犯罪化,金融機関等による顧客の身元確認及び疑わしい取引についての権限ある当局への報告,不法収益の保全及び没収,国際協力の強化等のマネー・ローンダリング対策に関する40の勧告を採択した。1996年及び2003年には,この勧告が改訂され,マネー・ローンダリング罪の前提犯罪の拡大,本人確認義務及び疑わしい取引の届出義務の強化,法人等の悪用防止,非金融業者・職業専門家へのマネー・ローンダリング対策の適用等が盛り込まれた。さらに,FATFは,2001年,テロ資金供与に関するFATF特別勧告(2004年改訂)を採択し,テロ資金対策にも取り組んでいる。我が国も,FATF加盟国の一員として,犯罪による収益の移転防止に関する法律に基づき,国家公安委員会が,疑わしい取引に関する情報を外国関係機関に提供することなどにより,マネー・ローンダリング対策及びテロ資金対策における国際的な連携を強化している。