保護観察対象者が健全な生活態度を保持し,善良な社会の一員として自立し,改善更生することができると認められる場合に執られる措置として,不定期刑の仮釈放者(第3編第2章第1節3項参照)について刑の執行を受け終わったものとする不定期刑終了及び保護観察付執行猶予者について保護観察を仮に解除する仮解除がある。平成22年に不定期刑終了となった仮釈放者はなく,仮解除となった保護観察付執行猶予者は365人であった(保護統計年報による。)。
保護観察対象者に遵守事項違反又は再犯等があった場合に執られる措置として,仮釈放者に対する仮釈放の取消し及び保護観察付執行猶予者に対する刑の執行猶予の言渡しの取消しがある。
保護観察対象者に遵守事項違反等の疑いがあるときは,保護観察所の長は,保護観察対象者からの事情聴取を含む調査を行うが,保護観察対象者が出頭の命令にも応じない場合等には,保護観察所の長は,裁判官が発する引致状により引致することができる。さらに,地方更生保護委員会は,仮釈放の取消し決定をするか否かに関する審理を開始する必要があると認めるとき,又は仮釈放取消しの申出がありその審理を開始するときに,保護観察所の長は,執行猶予取消しの申出をするか否かに関する審理を開始する必要があると認めるときに,一定の期間,引致された者を留置することもできる。平成22年中に引致された保護観察対象者(保護観察処分少年及び少年院仮退院者を含む。)は287人であり,そのうち,留置された者は241人であった(保護統計年報による。)。
なお,所在不明になった仮釈放者については,保護観察を停止することができるが,平成22年にこの措置が執られた仮釈放者は206人であった(保護統計年報による。)。また,18年5月から,所在不明となった仮釈放者及び保護観察付執行猶予者の所在を迅速に発見するために,保護観察所の長は,警察からその所在に関する情報の提供を受けている。この情報提供により,17年12月からの試行期間を含め,23年3月31日までの間に1,819人 (仮釈放者995人,保護観察付執行猶予者824人)の所在が判明した(法務省保護局の資料による。)。