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 平成21年版 犯罪白書 第7編/第2章/第3節/1 

第3節 矯正

1 再入の受刑者

(1)再入者人員及び再入者率

 7-2-3-1図は,入所受刑者について,初入者(刑事施設の入所度数が1度の者をいう。以下,この項において同じ。)・再入者(刑事施設の入所度数が2度以上の者をいう。以下,この項において同じ。)別の人員及び再入者率(入所受刑者人員に占める再入者人員の比率をいう。以下,この項において同じ。)の推移(最近20年間)を見たものである。
 再入者人員は,平成10年まで減少傾向にあったが,その後は増加傾向にあり,20年は1万5,616人であった。再入者率は,48〜63%で推移しているが,16年からは毎年上昇し続け,20年は53.9%であった。女子について見ると,再入者人員は,同様の傾向にあり,20年は778人であった。また,女子の再入者率は,28〜50%と比較的低い水準で推移しているものの,17年からは毎年上昇し続け,20年は35.4%であった。

7-2-3-1図 入所受刑者人員(初入・再入別)・再入者率の推移(総数・女子別)

(2)年齢

 7-2-3-2図は,年齢層別に再入者人員の推移(最近10年間)を見たものである。
 一貫して,30歳代が最も多く,次いで,40歳代及び50歳代が多数を占めている。また,20歳代は減少傾向にある一方で,60〜64歳及び65歳以上の高齢層の増加が目立つ。女子についても,ほぼ同様の傾向が見られる。

7-2-3-2図 再入者人員の推移(総数・女子別・年齢層別)

(3)罪名

 平成20年における入所受刑者について,再入者(前刑出所前の犯罪により入所した再入者を除く。以下,この節において同じ。)の罪名別構成比を見ると,7-2-3-3図のとおりである。
 窃盗が35.7%と最も高く,次いで,覚せい剤取締法違反が26.3%,詐欺が7.5%,傷害・暴行が5.9%であり,窃盗と覚せい剤取締法違反とで,6割以上を占める。

7-2-3-3図 再入者の罪名別構成比

 平成20年における窃盗又は覚せい剤取締法違反による入所受刑者について,入所度数別構成比を見ると,7-2-3-4図のとおりである。
 入所度数が3度以上の者が,窃盗で41.3%,覚せい剤取締法違反で45.1%と,いずれも半数近くを占め,さらに,窃盗では,入所度数が10度以上の者が6.8%を占めている。

7-2-3-4図 窃盗・覚せい剤 入所受刑者の入所度数別構成比

 7-2-3-5図は,平成20年における入所受刑者のうち,再入者について,罪名別に,前刑の罪名と同一の罪名で再入所した者の比率を見たものである。
 窃盗(73.0%)及び覚せい剤取締法違反(72.2%)では,前刑と同一罪名で再入所した者の比率が,他の罪名と比べて際立って高い。女子については,この傾向がより顕著である(窃盗82.9%,覚せい剤取締法違反83.7%)。窃盗及び覚せい剤事犯者の同一罪名による再犯傾向の強さがうかがわれる。

7-2-3-5図 再入者の同一罪名再入率(罪名別)