4 少年事件における被害者への配慮の充実
少年事件については,少年法の改正(平成12年法律第142号による改正)により,平成13年4月から,被害者等による少年事件記録の閲覧・謄写,被害者等からの意見の聴取及び被害者等に対する審判結果等の通知の措置が導入されている。さらに,少年法の改正(平成20年法律第71号による改正)により,被害者等の権利利益の一層の保護を図るため,20年7月8日から,意見聴取の対象者の範囲が拡大され,また,同年12月15日から,一定の重大事件の被害者等が少年審判を傍聴することができる制度及び家庭裁判所が被害者等に対して審判の状況を説明する制度が導入されるとともに,少年事件記録の閲覧・謄写の要件の緩和及び範囲の拡大もされている。同年中に被害者等から申出がなされた人員は,少年事件記録の閲覧・謄写が718人(うち相当と認められた人員706人),意見の聴取が241人(同221人),審判結果等の通知が1,020人(同1,018人)であった。新たに導入された制度については,導入から21年3月末までの間に,被害者等による少年審判の傍聴が31件(58人),被害者等に対する審判状況の説明が64件実施された(最高裁判所事務総局の資料による。)。
このほか,被害者等通知制度の拡充(前項参照)に併せて,平成19年12月1日以降は,被害者等から希望があった場合,保護処分を受けた少年についても,その処遇状況等に関する事項を通知することとなり,加害少年が収容されている少年院の名称,少年院における教育状況,出院年月日・出院事由等については少年院の長が,仮退院審理の開始・結果に関する事項については地方更生保護委員会が,保護観察の開始・処遇状況・終了に関する事項については保護観察所の長が,それぞれ通知を行っている。20年においては,少年院の長から延べ162件,地方更生保護委員会から延べ59件,保護観察所の長から延べ118件の通知が行われた(法務省矯正局及び保護局の資料による。)。
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