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 平成21年版 犯罪白書 第3編/第4章/第1節 

第1節 犯罪の動向

 3-4-1-1図は,一般刑法犯について,年齢層別の検挙人員の推移(最近20年間)を見たものである。
 65歳未満の年齢層においては,一般刑法犯検挙人員は,最近になって減少傾向を示すようになったが,高齢者の検挙人員は,依然として上昇傾向が続いている。

3-4-1-1図 一般刑法犯 検挙人員の推移(年齢層別)

 3-4-1-2図は,年齢層別に一般刑法犯検挙人員の人口比の推移(最近20年間)を見たものである。
 高齢者の人口比は,他の年齢層より相対的に低い。しかしながら,平成20年における高齢者の人口比(173.0)は,10年の30〜49歳の人口比(168.6),50〜64歳の人口比(146.8)をいずれも上回っている上,年齢層別の人口比の伸び率を見ると,20年の人口比は,元年との比較で,20〜29歳が約1.3倍,30〜49歳が約1.3倍,50〜64歳が約2.0倍に上昇しているにすぎないのに対し,高齢者では,約3.7倍にまで上昇しており,高齢犯罪者の人口比の上昇は著しい。このように,最近の高齢犯罪者の増加の勢いは,高齢人口の増加をはるかに上回っている。

3-4-1-2図 一般刑法犯 検挙人員の人口比の推移(年齢層別)

 3-4-1-3図は,高齢者の一般刑法犯の罪名別の検挙人員の推移(最近20年間)を見たものである。
 これらの罪名においては,高齢者の検挙人員の伸びは急激であり,平成20年の検挙人員を元年と比較すると,殺人で約4倍,強盗で約13倍,暴行で約42倍,傷害で約8倍,窃盗で約6倍,遺失物等横領で約14倍にもなっている。

3-4-1-3図 高齢者の検挙人員の推移(罪名別)

 3-4-1-4図は,平成20年における高齢者の一般刑法犯検挙人員の罪名別構成比を男女別に見たものである。
 窃盗が最も多く,特に女子では,89.4%が窃盗であり,しかも万引きによる者が81.3%と際立って多い。

3-4-1-4図 一般刑法犯 高齢者の検挙人員の罪名別構成比(男女別)