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 平成20年版 犯罪白書 第7編/第1章/5 

5 本編の構成

 本編では,第2章で,高齢犯罪者の動向等について紹介する。検挙,検察,裁判,矯正及び更生保護の各手続段階における高齢の対象者の人員,高齢者比等を示すことにより,高齢犯罪者が,各手続段階を通じて,実数,構成比ばかりでなく,高齢者人口の伸び率以上の高率で増加している実態を示すとともに,罪名別に見て,特に,高齢者による窃盗が数の上で多数を占めること,傷害・暴行の近年の増加が著しいこと,殺人の高齢者比が高くなってきており,かつ,刑務所の初入者の罪名に殺人が多いことなどの実態を示す。併せて,高齢者の犯罪被害の動向についても見る。
第3章では,多角的な視点から高齢犯罪者の実態を見る。第1節では,犯歴調査によって,高齢まで犯罪を繰り返す累犯者や高齢になってから初めて前科を持つに至った高齢初犯者の特徴等を示す。第2節では,特別調査の結果を紹介する。まず,高齢犯罪者の一般的な諸属性を見た上で,第2章で問題性が浮かび上がった高齢者による窃盗,傷害・暴行及び殺人の4罪名について,その動機・原因,被害者との関係等の特徴について考察する(本調査は,法務総合研究所において,東京地方検察庁及び東京区検察庁の協力を得て,有罪の裁判が確定した者による刑事事件の記録を精査することにより実施したものである。なお,必要な調査件数を確保するには大規模な検察庁を選ぶ必要があったこと,調査を実施するための効率性等を考慮し,調査対象として東京を選定した。)。
第4章では,現在の我が国における高齢の受刑者及び保護観察対象者の処遇の実情を紹介する。
第5章では,高齢化の進んでいる諸外国のうち,アジアでは,韓国,欧米諸国では,フランス,ドイツ,イタリア,スウェーデン,英国及び米国の高齢犯罪者に関する主要な統計データを紹介するとともに,韓国及びドイツについて,その処遇の実情の一端を紹介する。
 最後に,第6章において,高齢犯罪者の実態と処遇について総括することとしたい。