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 平成19年版 犯罪白書 第7編/第3章/第4節/3 

3 量刑

 刑事司法制度は,犯罪者に適正な刑罰を科すことによって犯罪防止を図る機能を果たしており,寛厳よろしきを得た適正な科刑を実現することは,再犯の防止に資することとなる(本編第5章第1節参照)。
 本項においては,再犯と量刑との関係について見る。その際,犯罪全体について見るとともに,犯歴の件数が多く,その再犯防止対策が重要である窃盗,傷害及び覚せい剤取締法違反についても,併せて見ることとする。
 犯罪者が犯歴回数を1犯,2犯と重ねるにつれ,量刑がどのように変化していくかを知るため,70万人初犯者・再犯者混合犯歴を対象として,犯罪全体,窃盗のみを繰り返した者,傷害のみを繰り返した者及び覚せい剤取締法違反のみを繰り返した者について,犯歴回数別に,量刑及び再犯期間別の構成比を見たのが,7-3-4-10図である。

7-3-4-10図 犯歴回数別量刑別構成比・犯歴回数別再犯期間別構成比

 いずれにおいても,犯歴を重ねるにつれて量刑が重くなっている。
 他方,再犯期間は,犯罪全体,窃盗のみを繰り返した者及び覚せい剤取締法違反のみを繰り返した者については,犯歴回数を重ねるにつれて短くなる傾向が見られる。
 犯歴回数が増えるにつれ,同図の各犯歴回数欄に括弧書で示したとおり,当該犯歴回数に係る実人員は大幅に減少している。しかしながら,その一方で,より重い刑罰を科されても,窃盗や覚せい剤取締法違反においては,再犯期間を短くする傾向を示しながら同一の犯罪を繰り返す者が一定数存在することも事実である。
 他方,傷害のみを繰り返した者については,軽微な事案が多いためと思われるが,6〜10犯目においても罰金が約69%を占めており,また,犯歴回数によっても再犯期間の長短に特段の傾向は見られなかった。