第4節 総合法律支援法の施行
総合法律支援法(平成16年法律第74号)による総合的な支援体制の中核的な役割を果たすものとして,同法律に基づき,平成18年4月10日,法人である日本司法支援センター(愛称「法テラス」)が設立された。日本司法支援センターは,主たる事務所を東京都に置き,各地方裁判所本庁所在地等に事務所を設け,同年10月2日から業務を開始している。
日本司法支援センターは,関係する機関及び団体と連携・協力しながら,法による紛争解決制度の有効な利用に資する情報提供の充実強化業務,民事法律扶助業務,弁護士等を依頼することに困難がある司法過疎地域における法律事務に関する業務,犯罪被害者等の支援業務及び国選弁護人の選任に関する業務を行う。
犯罪被害者支援業務の内容は,犯罪被害者等に対し,電話及び全国50か所に設置された地方事務所を通じて,刑事手続への適切な関与や損害・苦痛の回復・軽減を図るための制度に関する情報提供を行うほか,犯罪被害者支援団体等の活動内容や被害者支援に精通した弁護士の紹介等を行うものである。平成18年10月2日の業務開始から19年3月末までの利用件数は,電話による相談が4,702件,地方事務所への犯罪・刑事事件に関する問い合わせが715件,犯罪被害者支援に精通した弁護士の紹介が97件であった(法務省大臣官房司法法制部の資料による。)。
国選弁護人の選任に関する業務の内容は,被疑者・被告人に国選弁護人を選任する必要がある場合,裁判所の求めに応じ,日本司法支援センターと契約している弁護士を国選弁護人の候補に指名して裁判所等に通知し,国選弁護人に選任された同弁護士にその事務を行わせるというものである。このような日本司法支援センターの業務は,全国において,迅速かつ確実に国選弁護人の選任が行われる体制を確立することにより,被疑者・被告人が弁護人の援助を受ける権利を実効的に担保するとともに,充実しかつ迅速な刑事裁判を実現することに寄与する。平成18年10月2日の業務開始から19年3月末までの国選弁護人選任に関する事務の受理件数は,被疑者に関するものが3,436件,被告人に関するものが3万7,707件であった(法務省大臣官房司法法制部の資料による。)。
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