7 受刑者の移送
1983年に,欧州評議会において,外国人受刑者を母国に移送して母国で服役させる制度の創設を内容とする刑を言い渡された者の移送に関する条約が採択された。我が国においては,2002年に国際受刑者移送法(平成14年法律第66号)が成立するとともに,同条約の締結につき国会承認が得られ,2003年2月に同条約への加入書を寄託した。同条約は,同年6月に我が国についても効力を生じた。2004年,同法律に基づき,初めて我が国からの送出移送が行われた。2006年の送出移送人員の合計は16人であり,その内訳は,英国7人,フランス3人,米国2人,カナダ・イタリア・スペイン・ドイツ各1人である。さらに,2006年4月には,我が国における受入移送の初適用案件として,米国で服役していた日本人受刑者1人の受入移送を実施した(法務省矯正局の資料による。)。
また,アジア地域では,日本に続いて韓国が,2005年7月に同条約に加入し(同年11月発効),我が国と韓国との間で受刑者の移送が可能になった。
なお,2006年7月には,法務大臣が訪中して中国司法部長と会談し,日中間における受刑者移送条約に関して,今後とも,中国側と引き続き協議していくことを日本側から提起した。また,2007年4月の中国総理の訪日の際には,日中首脳間において,受刑者移送条約の締結に関する事項についての協議を引き続き推進することで一致した。
一方,2006年11月には,タイとの間で,受刑者移送条約の締結交渉を開始することが正式に合意されている。
|