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 平成18年版 犯罪白書 第6編/第4章/第2節/2 

2 性犯罪者の再犯状況

 ここでは,再犯状況調査の結果を基に,性犯罪者の再犯状況を分析する。

(1) 調査対象者

 調査対象者は,平成11年中に刑事施設を出所した性犯罪受刑者672人(以下,本節において「出所受刑者」という。)及び12年中に執行猶予判決を受けた性犯罪者741人(以下,本節において「執行猶予者」という。)である。これらの対象者の16年12月31日までの再犯状況について調査した。なお,危険運転致死傷,業過及び道交違反による再犯は,調査の対象から除かれている。

(2) 再犯状況

 出所受刑者(満期釈放者及び仮釈放者),執行猶予者(保護観察付き執行猶予者及び単純執行猶予者)の再犯状況は,6-4-2-6図のとおりである。

6-4-2-6図 性犯罪者の再犯状況

 調査対象者のうち,出所受刑者の再犯率は,39.9%(満期出所者では63.3%,仮釈放者では30.8%)であり,性犯罪再犯率は,11.3%(満期出所者では19.1%,仮釈放者では8.3%)であった。
 これに対し,執行猶予者の再犯率は,13.5%(保護観察付き執行猶予者では18.8%,単純執行猶予者では12.1%)であり,性犯罪再犯率は,3.8%(保護観察付き執行猶予者では7.1%,単純執行猶予者では2.9%)であった。
 次に,出所受刑者について,性犯罪前科の有無別の再犯状況は,6-4-2-7図のとおりであり,13歳未満の被害者の有無別の再犯状況は,6-4-2-8図のとおりである。

6-4-2-7図 出所受刑者の性犯罪前科の有無別の再犯状況

6-4-2-8図 出所受刑者の13歳未満の被害者の有無別の再犯状況

(3) 類型による再犯の分析

 再犯調査の対象者に対し,性犯罪者の実態の分析で用いた性犯罪者類型による分析を行い,類型ごとに再犯状況の特徴を見る。
 出所受刑者及び執行猶予者の類型別構成比は,6-4-2-9図のとおりである。

6-4-2-9図 出所受刑者及び執行猶予者の類型別構成比

 出所受刑者及び執行猶予者の再犯率を,性犯罪再犯率とその他の犯罪(性犯罪,危険運転致死傷,業過及び道交違反を除く。)の再犯率に分け,これらを類型別に見ると,6-4-2-10図のとおりである。
 性犯罪再犯率は,小児わいせつタイプが最も高く,集団強姦タイプは0%であった。

6-4-2-10図 類型別性犯罪・その他の犯罪の再犯率