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 平成18年版 犯罪白書 第6編/第1章/3 

3 司法制度改革と刑事政策

 司法の最重要課題ともいえる司法制度改革に関する動きは,刑事政策に関わる領域においても重要であり,これを十分注視していく必要がある。改革は,刑事司法分野においても,着々と進展しており,これまでに刑事裁判の充実・迅速化等を内容とする刑事訴訟法等の一部を改正する法律(平成16年法律第62号)の一部が施行されるなどしたほか,刑事裁判に裁判員制度を導入することを内容とする「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」(平成16年法律第63号)も平成21年5月までに施行されることとなっている。
 裁判員制度は,広く国民が刑事裁判の過程に参加し,裁判の内容に国民の健全な社会常識を反映することによって,その国民的基盤の確立を目指すものである。しかし,この制度は,制度運用に当たり国民に相当の負担を求めるものであるだけに,制度を円滑に定着させるためには,裁判員裁判に対する国民の理解と協力を得ることが必要となろう。理解と協力を得るため,裁判員制度に関する広報活動の徹底等をはじめとする様々な方策を採ることが考えられる。
 ところで,刑事司法の目的は,刑事事件の事案の真相を明らかにし,刑罰権を迅速,適正に発動することにあり,また,そのことを通じて公共の安全と秩序を維持し,基本的人権の保障を全うすることにある。その意味では,犯罪情勢や治安状況を良好に保つことは,刑事司法にとって重大な使命の一つというべきであり,裁判に国民の良識を反映する裁判員制度も,この重大な使命の達成に資するものである必要がある。裁判員制度については,こうした刑事司法の使命の実現に資する制度として,国民の理解と協力を得ながら,我が国社会に安定的に根付かせなければならない。
 そして,このことは,刑事政策上も当面の最重要課題の一つというべきであろう。