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 平成17年版 犯罪白書 第4編/第5章/第6節/1 

1 重大事犯少年の実態

 重大事犯少年の実態の分析に当たっては,主として,集団型,単独型,家族型及び交通型の非行類型ごとに分けて検討した。それぞれの類型ごとに要約すると,以下のとおりである。
 集団型の少年は,重大事犯少年のほぼ4分の3を占める。学校では成績が振るわず,仕事も長続きせず,遊び中心に過ごしていた者が多く,暴力によって自分の強さを殊更に誇示したり,憂さ晴らしをしようとした結果,重大事犯につながった。少年たちは,学校にも職場にも地域社会にも所属意識がなく,同じような不良仲間あるいは年長の不良者との結び付きを強め,共に行動することで不適応感を解消したり,強さを持とうとしたことがうかがわれる。
 単独型の少年は,他の非行類型と比較して最も人数が少なかった。資質の上で大きな問題を抱えている者が目立ち,早期から粗暴傾向が顕著で,資質面の問題性がそのまま重大事犯につながった者,異性との感情のもつれに直面し,適切な対応を取れず,激情に任せた行動に出て被害者を死亡させた者等が見られた。さらに,単独型には,動機とその結果の重大性が余りに不釣り合いな事例,動機そのものが不可解で精神面での障害が疑われる事例等が含まれていた。
 家族型の少年は,様々な家庭内の問題を複合的に抱えていた。そして,家庭内の問題がまさに凝縮された形で重大事犯へと発展している。父親が被害者である事件は,優位な立場にある父親に暴力で対抗した結果,重大事犯に至った事例等が見られた。他方,母親が被害者である事件は,母親の側に目立った問題が認められず,少年の側に精神面での障害等の問題が認められる事例等が見られた。また,嬰児殺の女子では,家庭内で手のかからない子としての自らの立場を守ろうとして,親にも妊娠の事実を告げず,出産の発覚を恐れて我が子の殺害に至る事例等が見られた。
 交通型の少年は,他の非行類型の少年と比較して犯行時年齢が高く,家庭内の問題及び生活上の問題の少ない少年が比較的多かった。通常の家庭環境の下で,目立った非行もなく,一応,職業に就き,社会人としての生活を送っていたが,交通規範面での問題から車両運転の際に重大な結果を引き起こすに至った事例等が見られた。