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 平成17年版 犯罪白書 第4編/第5章/第5節/2 

2 矯正施設収容中の環境調整の状況

 矯正施設に収容された対象者の環境調整の状況について,開始当初及び仮釈放前の最終段階の報告書に基づき,分析した。分析の対象者は,保護観察所調査対象者のうち矯正施設に収容された61人であり,内訳は,少年院仮退院者58人,刑務所仮出獄者3人である。
 これらの者が矯正施設に収容された当初の状況と仮釈放になる前の状況を比較して見ると,4-5-5-3図のとおりである。

4-5-5-3図 環境調整の状況

 「引受人」は,環境調整当初と最終段階でさほど大きい変化は見られず,おおむね90%弱が実父又は実母である。途中で引受人の変更があった者は,本人の収容中に,父母の離婚,引受人の死亡等家族状況の変動があった者,及び当初は引受人がいなかったが,更生保護施設が引き受けることになった者等であった。
 「引受意思」は,引受けについての積極性を示している。当初から,「進んで引き受ける」と回答した者が,93.4%と高いが,最終では,98.4%と更に高くなっている。収容中の本人に対する家族の感情が良好である者は,75.4%から82.0%へと上昇しており,矯正施設に収容された者の受入状況は,おおむね好ましい状況であるといえる。
 他方,本人の改善更生の重要な要素と考えられる釈放後の生活計画については,当初は,生活計画が決定した者が10%弱,見込みがある者が40%弱であったが,環境調整の最終段階には,それぞれ,19.7%,44.3%と高くなっており,収容期間の経過に伴って生活計画が具体化したことが分かる。生活計画が具体化した者は,家業を手伝う予定であったり,家族や親族が稼働している会社への内定をもらったりした者が多い。また,非行前に就労していた会社で再雇用を約束してくれるなどの事例もあった。
 本人が施設収容中に就労先等を確保することは困難な場合が多く,4割弱の者が,最終段階でも生活計画「未定」であり,矯正施設から釈放されてから就労・就学先の開拓を始めなくてはならない状況であった。