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 平成17年版 犯罪白書 第4編/第5章/第3節/3 

3 事件に対する責任等の認識

 事件に対する責任の認識の変化は,4-5-3-5図のとおりである。
 少年院在院者では,事件の直後は共犯者の責任が「ある」(「かなりある」及び「少しある」の合計。以下同じ。)とする者の比率が最も高く,次いで,被害者の責任が「ある」とする者の比率が高く,自分の責任が「ある」とする者の比率は最も低かった。しかし,少年院在院中の現在では,共犯者の責任と自分の責任を「ある」と認識する者の比率が上昇し,被害者の責任を「ある」とする者の比率は大幅に低下していた。交友関係の問題に対する少年院内での指導等を通じて,共犯者の責任と自分の責任について同時に反省を深めつつあることがうかがわれる。
 他方,刑務所在所者では,事件の直後から自分の責任も共犯者の責任も同程度に「ある」と認識していた者の比率が高かった。刑務所在所中の現在では,自分の責任を「ある」とする者の比率が上昇したが,共犯者の責任を「ある」とする者の比率はやや低下している。被害者の責任を「ある」とする者の比率は,少年院在院者と同様に大幅に低下していた。

4-5-3-5図 事件に対する責任の認識の変化

 親との関係の認識の変化は,4-5-3-6図のとおりである。
 少年院在院者,刑務所在所者ともに,事件前と現在を比較すると,親への親和的な感情が上昇し,親への否定的な感情が低下していた。

4-5-3-6図 親との関係の認識の変化

 非行を思い止まらせる心のブレーキの変化は,4-5-3-7図のとおりである。
 少年院在院者,刑務所在所者ともに,事件前と現在を比較すると,「警察に捕まること」,「特に心のブレーキになるものはなかった」とする者の比率が大幅に低下し,「家族のこと」とする者の比率が大幅に上昇していた。家族に対する親和感情が上昇し,現在の心の拠り所となっていることが影響していると考えられる。

4-5-3-7図 心のブレーキの変化

 社会復帰後の大切な事項に関する認識は,4-5-3-8図のとおりである。
 少年院在院者,刑務所在所者ともに,「被害者のために何かおわびをする」ことの大切さを認識する者の比率が最も高かった。また,「学校や仕事を休まずに続ける」,「規則正しい生活を送る」,「悪い友達や先輩とは付き合わない」といった健全な生活を送り,不良交友をしないことが上位になっていた。

4-5-3-8図 社会復帰後の大切な事項

 社会復帰後の心配な事項に関する認識は,4-5-3-9図のとおりである。
 少年院在院者,刑務所在所者ともに,「被害者の家族にどのように謝罪すればよいか」を心配する者の比率が高く,社会復帰後に大切と考えている被害者への謝罪の方法について悩む者が多いことがうかがわれる。また,少年院在院者では,「地元の人が自分をどう見るか」と出院後を心配する者の比率が高いなど,刑務所在所者よりも様々な事項について心配とする者の比率が高く,出院後の不安をより多く抱えていることがうかがわれる。

4-5-3-9図 社会復帰後の心配な事項