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4 自立支援の内容 (1) 開放的処遇による指導 児童自立支援施設では,擬似的な家庭生活を中心とした開放的な処遇が行われている。
児童自立支援施設には,寮舎,教室,体育館・講堂,運動場,プール,事務室等の設備があり,基本的に児童の生活全般(家庭生活及び学校生活)が施設内で営まれる。この点で,児童が一般の学校に通学する児童養護施設と異なっている。基本的に児童が自由に施設の外に出ることは制限されるが,寮舎等は施錠されない。 児童自立支援施設における指導の特徴を最もよく示すのが,寮舎における小舎夫婦制である。これは,一組の夫婦である職員が,自らの家族と共に,10人前後の児童と寮で生活を共にし,擬似的な家庭生活を営みながら,生活指導を行うものであり,平成16年度において国立の2施設を始めとして21施設で実施されており,他の37施設では交替制(職員が交替で児童の自立支援に当たる形態)等を取り入れている(全国児童自立支援施設協議会の資料による。)。 (2) 生活日課と学科教育 例として,ある児童自立支援施設における児童の生活日課を示すと,4-4-7-5表のとおりである。児童は,寮での家庭生活及び学科教育を中心とした規則正しい生活を送り,生活指導(日常生活を通じた個別指導,集団的指導),学科指導を受ける。また,作業(園芸,農業,木工等),クラブ活動(スポーツ,音楽,工芸,園芸等)等の他の児童との集団生活を通じての成長が図られている。
学科教育は,従来,施設の職員が行っていたが,近年,施設内に地域の学校の分校等を設けて,学校教育として行う施設が増えており,平成17年4月現在,31施設で学校教育が実施されている(厚生労働省雇用均等・児童家庭局の資料による。)。既に中学校を卒業した児童については,高校への通学,高校進学のための補習学習,就職準備のための指導,施設外職業実習等が行われている。 4-4-7-5表 児童自立支援施設の生活日課の例 (3) 強制的措置 児童自立支援施設に入所する児童に対して,家庭裁判所の決定により,行動の自由を制限して個別処遇を行う強制的措置が採られる場合がある。現在,強制的措置を採ることができる施設は,国立の2施設のみである。
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