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 平成17年版 犯罪白書 第2編/第7章/第1節/2 

2 主要国首脳会議

(1) 総論

 主要国首脳会議(以下「サミット」という。)においては,マネー・ローンダリング等の金融犯罪,麻薬取引,国際犯罪組織等の国際犯罪,テロ等に関する問題が取り上げられ,これら国際犯罪の防止に関しての国際協力強化の必要性が強調されている。また,1997年以降,例年,G8司法・内務閣僚会合が開催されており,2005年6月に英国シェフィールドで開催された会合では,組織犯罪対策,不法移民・人身取引対策,テロ対策,アフリカ諸国における腐敗対策への支援等が議論された。

(2) 金融活動作業部会(FATF)における金融犯罪・テロ対策

 1989年のアルシュ・サミットの宣言を受けて,マネー・ローンダリング対策の推進を目的に設立された金融活動作業部会(FATF)は,現在では,マネー・ローンダリング及びテロ資金供与に関する国際的な対策と協力の推進を担っている。FATFでは,1990年に薬物犯罪に関するマネー・ローンダリングの犯罪化,金融機関等による顧客の身元確認及び疑わしい取引についての権限ある当局への報告,不法収益の没収及びその保全,国際協力の強化等のマネー・ローンダリング対策に関する「40の勧告」を採択し,1996年及び2003年に,同勧告を改訂し,マネー・ローンダリング罪の前提犯罪の拡大,本人確認義務及び疑わしい取引の届出義務の強化,法人等の悪用防止,非金融業者・職業専門家へのマネー・ローンダリング対策の適用等を勧告し,実施状況の監視を行っている。また,2001年10月及び2004年10月に,「テロ資金供与に関するFATF特別勧告」を採択し,テロ資金対策にも取り組んでいる。

(3) リヨン/ローマ・グループにおける国際組織犯罪・テロ対策

 国際組織犯罪対策に関する上級専門家会合(通称リヨン・グループ)は,1995年に設立が決定され,1996年のリヨン・サミットにおいて,情報提供者,証人等の保護,コントロールド・デリバリー(監視付き移転)等に関する「国際組織犯罪と闘うための40の勧告(いわゆるリヨン・グループ40の勧告)」を発表したほか,銃器,薬物及び人の密輸,サイバー犯罪,マネー・ローンダリング,汚職等の腐敗行為等の国際組織犯罪に対処するための捜査手法や法制等について,議論等を行っている。また,2001年9月の米国における同時多発テロ事件以後,テロ対策専門家会合(通称ローマ・グループ)との合同会合が開催されている。2002年5月には,リヨン・グループ40の勧告を見直し,国際組織犯罪対策に加え,テロ対策について定めた「国際犯罪に関するG8勧告」を採択した。