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 平成17年版 犯罪白書 第2編/第6章/第6節/1 

第6節 精神障害のある犯罪者

1 検察庁及び裁判所における処理状況

 刑事裁判においては,精神の障害によって,自己の行為の是非善悪を弁別する能力を欠く者又はその能力はあるがこれに従って行動する能力がない者は,心神喪失者として処罰することができず,また,このような弁別能力又は弁別に従って行動する能力が著しく低い者は,心神耗弱者として刑が減軽される。
 [1]検察庁において不起訴処分になった被疑者のうち,精神障害のため,心神喪失者又は心神耗弱者と認められた者及び[2]通常第一審において心神喪失を理由として無罪になった者又は心神耗弱を理由として刑を減軽された者の推移(最近10年間),並びに[3]平成16年におけるこれらの者の罪名・精神障害名別処分結果は,2-6-6-1表のとおりである。

2-6-6-1表 心神喪失者・心神耗弱者と認められた者の罪名・精神障害名別処分結果

 これら心神喪失者又は心神耗弱者と認められた平成16年の649人のうち,措置入院となった者は,383人であり,当該事件について懲役・禁錮の実刑判決を言い渡された者及び別事件についての刑事手続により身柄を拘束された者は,55人であった(巻末資料2-16参照)。
 平成16年に心神喪失者と認められて不起訴処分になった324人について,その罪名別内訳を見ると,殺人が74人と最も多く,次いで,傷害(66人),放火(48人)の順であり,精神障害名別内訳を見ると,統合失調症(精神分裂病)が234人と最も多い。
 平成16年に不起訴処分になった者のうち心神耗弱者と認められた237人について,その罪名別内訳を見ると,傷害が50人と最も多く,その精神障害名別内訳を見ると,統合失調症(精神分裂病)が138人と最も多く,次いで,そううつ病(21人)であった。
 平成16年に通常第一審において心神耗弱により刑が減軽された81人について,その罪名別内訳を見ると,殺人が21人と最も多く,精神障害名別内訳を見ると,統合失調症(精神分裂病)が24人と最も多い。