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4 対象者の処遇 保護観察の効果を高めるために,分類処遇制度,類型別処遇制度,長期刑仮出獄者に対する中間処遇制度等が実施されている。
(1) 分類処遇制度 分類処遇制度は,昭和46年に導入され,61年に分類の基準等が改正されて現在に至っているものであり,一定の基準に基づき,対象者を処遇の困難性に応じてA・Bに分類している。資質,環境に問題が多く,処遇が困難と予測されたA分類の者に対しては,保護観察官は,保護司との連絡・協議を密に行うとともに,本人,家族その他の関係者と,より積極的・計画的に面接して指導・助言を行っており,このように積極的・計画的に処遇に関与することで,その専門性を効率的に発揮し,保護観察の効果を高めようとしている。
仮出獄者及び保護観察付き執行猶予者のA分類率(処遇困難とされた者の比率)の推移(平成元年以降)は,2-5-3-6図のとおりである。 平成16年12月31日現在,仮出獄者の18.2%,保護観察付き執行猶予者の8.7%がA分類とされている。 2-5-3-6図 保護観察の分類処遇におけるA分類率の推移 (2) 類型別処遇制度 類型別処遇制度は,対象者を犯罪・非行の態様,特徴的な問題性等により類型化した上,その特性に焦点を合わせた処遇を実施する制度をいい,平成2年に導入され,15年の類型項目等の改正を経て,13の類型が設けられている。法務省では,各類型に該当する対象者の特徴と問題点,設定すべき特別遵守事項の例,処遇の具体的な方法,処遇に活用できる関係機関・社会資源の紹介及び活用方法等を詳細に記載した処遇マニュアルを作成し,保護観察官及び保護司の処遇知識・技術の向上と処遇内容の統一を図っている。
仮出獄者及び保護観察付き執行猶予者の主要な類型の認定状況(平成16年12月31日現在)は,2-5-3-7表のとおりである。 「覚せい剤事犯」類型が,仮出獄者の24.4%,保護観察付き執行猶予者の13.3%と最も多い。「性犯罪等」類型には,仮出獄者の4.1%,保護観察付き執行猶予者の5.6%が,それぞれ該当している。 各類型の対象者に対しては,処遇マニュアルを活用した個別処遇が実施されているほか,一部の保護観察所では,対象者本人や家族・引受人を対象とする集団処遇が実施されており,平成16年には,26庁において覚せい剤類型対象者の引受人会が延べ36回実施され,延べ678人の引受人が参加している(法務省保護局の資料による。)。 2-5-3-7表 保護観察対象者の類型認定状況 (3) 長期刑仮出獄者に対する中間処遇制度 無期刑及び執行すべき刑期が8年以上の長期刑の仮出獄者に対しては,特に保護観察の充実・強化を図るため,中間処遇の制度が設けられている。
中間処遇制度とは,長期刑の受刑者を早期かつ円滑に社会生活へ移行させることを目的として,地方委員会が相当と認め,かつ,本人の同意を得た事案について,仮出獄当初の1か月間,更生保護施設に居住させ,生活訓練を中心とした処遇及び職業についての援助等を行う制度をいい,平成16年には,99人(前年比6人減)に対して実施された(法務省保護局の資料による。)。 |