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 昭和39年版 犯罪白書 第四編/第二章/二/3 

3 医療衛生,給養

 心身に著しい故障のある者を収容し,これに治療を施す専門の施設としては,東京,関東,京都,宮川,豊浦の各医療少年院のほかに,久里浜,福岡等の少年院に付設された医療センターが設けられていて,昭和三七年一二月末日現在七六六人(収容少年全体の八・二%)の少年が収容されている。その他の各少年院にも,それぞれ施設の大小に応じて診療機関が設けられており,昭和三九年一月現在,医務関係職員は医師六九(うち精神科医八),薬剤師七,レントゲン技師三,栄養士一七,衛生検査技師二,看護婦(人)の資格を有する者六三等である。患者については,昭和三八年一〇月末現在,休養患者(医官の診察を必要とする者のうち,教育訓練などいつさいの日課を停止し,病室に収容して医療を施さなければならない程度の傷病にかかったもの)二一八人,非休養患者一,七一三人である。病名別にみると,精神病,精神神経症および人格異常の者が最も多く(二一・三%),消化器系の疾患(一七・九%),神経系および感覚器の疾患(一四・〇%),伝染病および寄生虫病(一二・八%),皮膚および皮下結合組織の疾患(一〇・五%)がこれについでいる。
 矯正施設のように,多数の人間が集まって生活している場所で,衛生管理上,特に注意を要するのは伝染病の発生であるので,各施設とも,上下水道,し尿処理設備の改善,衛生教育,予防接種の励行のほか,収容少年および関係職員の検便による病原菌保有者の発見を重視し,大施設に併置されている防疫センターに依頼して,検便を行なっている。
 収容少年に興えられる食事は,ひとり一日あたり三,〇〇〇カロリー(主食二,四〇〇カロリー,副食六〇〇カロリー)であって,カロリーの上では問題はないが,副食費が少ないため,動物性たんぱく質と脂肪を十分に興えることができない。すなわち,昭和三八年一二月現在,収容少年ひとり一日あたり副食費は二九円六〇銭(陸上自衛隊八〇円二〇銭,生活保護少年六二円)である。
 なお収容少年には,一定の衣類,寝具等が貸与され,自弁品も紀律および衛生に害がないかぎり,その使用が許されている。